モバイク3つのキーワード

では、シェアサイクルをどのような考えで展開していこうというのか。同社には「スマート」「デュラブル」「レスポンシブル」というブランディングワードがあるという。これを知ることで、モバイクの特徴が大体わかるだろう。

スマート

スマートとは、最先端の技術を組み合わせ、最適なサービスを提供していくことだ。モバイクでは、駐輪ポート位置の確認、自転車の解錠、料金支払いをスマートフォンのアプリを介して行う仕組みを採用している。優れているのは、アプリを使って違法駐輪対策ができることだ。違法駐輪を発見した人はアプリからモバイクの車体IDを報告する。違法駐輪が報告されたユーザーは、予め付与された信用(点数)が減点される。信用がなくなればモバイクが使えなくなる仕組みだ。

アプリを介して現在地から駐輪ポートを検索可能

目的地までの距離とおよその利用料金の目安なども表示してくれる(最低利用料は30分50円から)

デュラブル

デュラブルは耐久性の高い自転車を意味する。モバイクでは、自社設計の自転車を採用。利用体験を損なわないように、また重大事故を未然に防ぐために、4年間のメンテナンスフリーの自転車を使っている。パンクすることなく、安心・安全に乗ってもらえる自転車作りに取り組んでいこうという考えだ。

メンテナンスフリーに近づけるべく、タイヤはパンクレスタイヤ。チェーンもなく内部はシャフトで後輪に動力を伝える機構となっている

デュラブルからは少し逸れるが、モバイクが自社規格での自転車を生産していることも興味深い。ハードウェアとしての自転車を常にアップデートし、世界の各地の都市の要望に応えられる自転車をスピーディーに製造できる。9月末公表の第4世代自転車は、大幅な軽量化が行われるとともに自動変速機能も備えたものとなった。起伏の多い都市にも適した自転車を提供できるようになるわけだ。

レスポンシブル

レスポンシブルはサービスを行う上での責任のことだ。乗車時のトラブル、放置自転車など様々な問題が起こりうる。このため、責任ある運営が必要であるという認識を強く持ち、事業運営に当たっているという。

こうしたキーワードを持ちながら、さらにベース部分を成す考えもある。それが「永続的な利便性の提供」だ。シェアサイクルを通じて都市を永続的に繁栄させることを目指しているのだ。

木嵜氏は「世界には自治体と結びつかずサービスインした他社もあるが、将来、自治体と目指す方向に食い違いが生じたとき、放置自転車問題につながってしまったり、街の景観を損ねてしまったりしかねない」とし、そのために都市交通において大きな責任を果たす自治体とのコミュニケーションが不可欠になるとしている。シェアサイクル事業は、パートナーの存在が重要となるが、モバイクは自治体と連携をしながら事業展開を図っていく考えだ。