東洋ビジネスエンジニアリング(B-EN-G)は11月8日、工場のIoT化を簡単に実現できる「mcframe SIGNAL CHAIN」に、製造および設備データの収集、整理・集計、管理・連携、表示を可能とする「IoTプラットフォーム機能」を追加したことを発表した。

近年、ものづくり産業は、単なる良いモノを早く作る、という価値から、そのモノがエンドユーザーにどのような体験を提供するのか、といった「ことづくり」をどうやって生み出していくか、という価値へと変化が生じている。同社では従来のビジネスの起源であるFA/CIMから、ERPなどの上流側のICT分野へと対応範囲を広げてきたが、そうしたビジネスの潮流の変化を受ける形で、現在、IoTの活用に向けたさまざまな取り組みを進めてきている。

具体的には、2016年6月より「mcframe SIGNAL CHAIN」の「稼動モニタリング」の提供を開始、その後も2017年3月に「設備メンテナンス」の提供を開始したほか、生産現場の人の動きをデータ化して作業負荷や安全性の評価を行い、仮想現実(VR)技術を活用して作業手順の検証やトレーニングを支援する「mcframe MOTION」や、紙で行っていた情報の記録や参照などの作業をスマートデバイスで置き換え、「簡単なデータ入力」「手軽なデータ分析」「素早い情報活用」を実現し、製造現場の効率改善、品質向上、問題対応などを支援する「mcframe RAKU-PAD」といったソリューションを提供することで、「mcframe IoT」シリーズとしてのラインアップ拡充を進めてきた。

B-EN-Gが提供するIoTソリューションのロードマップ。ここに今回、新たに「mcframe SIGNAL CHAIN」の「IoTプラットフォーム機能」が追加された

今回のIoTプラットフォーム機能は、従来のmcframe SIGNAL CHAINでは、製造装置に備え付けられた「アンドン」の監視を行っていたが、そこから機能を発展させ、モノやコトの時系列な変化を分かりやすく可視化することを可能としたもの。データ送信部の「mcframe SIGNAL CHAIN Edge」、NoASQL形式のデータベースである「mcframe SIGNAL CHAIN Data Store」、データの可視化を行う「mcframe SIGNAL CHAIN Quick Viewer」の3つのモジュールで構成されている。具体的な利用イメージとしては、センサや製造装置で生み出される非定型データセットを集計し、可視化を行うことが可能なほか、より詳細や可視化や分析に向けた業務特化型やBI型の可視化・分析ツールへのデータ提供も行うことができる。

また、常にデータベースにデータを送っていると、データの保管コストが膨大になるため、センサデータはエッジ側で重複をチェックし、変化点のない状態などについてはサーバに送信しない仕組みを採用。これにより送信データの圧縮が可能となり、運用コストの削減につなげたとする。

同社では、「基幹系業務システムの仕組みとIoTのデータをつなげるFAとITのデータハブとなること」と、IoTプラットフォーム機能の狙いについて説明しており、単なる可視化ツールではなく、より大きな視点でのデータや工場の運営基盤になれれば、と期待を寄せる。

IoTプラットフォーム機能を先行導入した企業の事例。金型メーカーの例は、もともと、自分たちが作った金型が客先でどのように使われているかを知りたい、というニーズへの対応に向けて開発を開始。その結果、金型のショット数をmcframe SIGNAL CHAIN Edgeを介してクラウドに接続する形でカウントし、その回数を金型メーカー側で把握することで、顧客に先んじて交換時期の案内を送ったり、金型にショックセンサを付けて、波形解析を行うことで、金型のダレまで判定できるようにしたという。一方の原料メーカーは、顧客である食品メーカーの原料タンクにどの程度、当該原料が残っているかを遠隔で監視。どのタイミングで配送すれば、顧客が困らずに配送効率を最大化できるか、といったことを実現したという

なお、今後も機能強化を継続して行っていくことを同社では予定しており、「DynamodbからAhhenaへのデータ取得元の変更」といった根本的な機能変更のようなものから、「センサデータのリアルタイムモニタ」、「多言語対応」、「表示したグラフの画像およびダウンロード機能」といった現場で活用される機能まで幅広く機能拡充を図っていくとしている。