日立ハイテクノロジーズ(以下、日立ハイテク)は10月31日、日本貿易振興機構(ジェトロ)が実施する「日ASEAN新産業創出実証事業」において、「タイにおけるシェア工場(スマートファクトリー)の実証」が採択されたことを発表した。同実証事業は2017年10月より開始している。

シェア工場外観

シェア工場内部

近年、日本では人口減少などの影響により国内の市場規模が縮小していることから、多くの企業が海外をターゲットにした事業展開を進めるとともに、海外での生産増強を推進している。海外進出企業の協力会社である日本の中小企業の多くは、製造設備や人件費などのコスト増加、現地での資金・人材確保、さらには生産・品質管理などが課題となり、高い技術を持ちながらスムーズな海外進出が難しい状況にある。

同実証事業では、日立ハイテクが海外生産に必要な工場インフラ、部材調達、人材確保および育成などの環境を整備したシェア工場を設立し、生産設備や人材を複数の日本の中小企業で共有することで、海外進出に必要な資源を最小限に抑えることを検証する。

シェア工場における生産・品質管理については、最新の多視点カメラや高度画像圧縮システムなどIoT先端技術を導入することで、日本からの遠隔監視を可能にし、生産状況・検査データの閲覧、担当者への指示などを日本からリアルタイムで行う。これらの設備によって日本と同品質の製品の現地生産を可能にし、コスト競争力のある製品の現地生産を目指す。また、日立ハイテクは現地での部材調達だけでなく、販売などの周辺サービスも提供する。

なお、同社は今回の実証事業により、FVCサービスの一環であるシェア工場ビジネスの事業性の検証を行い、2018年度からのシェア工場ビジネスの事業化をめざす。