電力バッテリーの消費が激しい処理といえば、描画や複雑な演算が通り相場だが、データ通信/ネットワーク接続もかなりのもの。ネットワークを飛び交う信号量(トラフィック)が増えるにつれ消費電力も増すが、電波状態が芳しくない場所では基地局に対し繰り返し電波を送出してしまうため、ムダに電力を消費することになる。データ通信を抑えることも、バッテリーを長もちさせる重要なポイントなのだ。
データ通信を抑えるための王道はなく、地道にストリーミングアプリやWEBブラウズの使用を控えるしかないが、「バックグラウンド更新」も侮れない。これをオフにすれば、若干とはいえデータ通信にかかわる消費電力を節約できるのだ。
ただし、バックグラウンド更新には「オン」と「オフ」しか選択肢がなく、オフにすると結構な不便を強いられる。たとえば、ランニングの経路を測るなど位置情報をひんぱんに取得するアプリの場合、他のアプリを起動してしまうと位置情報を取得できなくなってしまうのだ。
というのは、iOS 10までの話。iOS 11ではバックグラウンド更新が見直され、オンかオフの二択ではなく、「Wi-Fiとモバイルデータ通信」と「Wi-Fi」、そして「オフ」の3択に変わったのだ。iOS 10までのオンは「Wi-Fiとモバイルデータ通信」に変わり、Wi-Fiに接続しているときだけバックグラウンド更新を行う「Wi-Fi」が追加された、と考えてもいい。
バックグラウンド更新で「Wi-Fi」を選択するということは、モバイル回線でアプリのバックグラウンド更新を行わないということであり、モバイル回線の品質が低下しているとき無理にデータ通信を行わないことでもある。インストールされているアプリの種類や数にもよるが、バッテリーのもちを改善する効果は期待できるはずだ。