ソニーが今年(2017年)のIFAで発表した、ソニー初となるGoogleアシスタント対応のAIスピーカー「LF-S50G」を、日本で12月9日に発売する。価格はオープンだが、想定売価は25,000円前後になる見込み。ホワイト、ブラック、ブルーの3色バリエーションが揃う。

ソニー初の、Googleアシスタントに対応したAIスピーカー「LF-S50G」

10月6日にはGoogleのAIスピーカー「Google Home」が国内でも発売されたばかりだが、ソニーは「スピーカーづくりのノウハウを生かして『"音』で差別化を図った」としている。ポイントは「こだわりの360度サウンド」と、ワイヤレススピーカーとして全般に使いやすさを重視した機能性の2点だ。

AIスピーカーはインターネットに常時接続して、スピーカーに話しかけるような感覚で声によるコマンドを入力。Spotify、Google Playミュージックなどの音楽配信サービスから好きな音楽を検索して聴いたり、天気予報、交通情報やニュースなどのコンテンツを利用できるのが、使い勝手の上での特徴になる。

LF-S50Gが対応するGoogleアシスタントは、基本を米Googleが設計・開発しているAIアシスタントであるため、採用するメーカーはAIの細部までカスタマイズすることはできない。よって、Googleアシスタント対応のAIスピーカーでは、可能なことの大枠は一緒になる。例えば、Chromecast built-in機能を搭載する外部機器、HDMI端末のクロームキャスト、Android TVを搭載するスマートOSテレビとの連携についてなどだ。今後、国内でもスタートを予定する「Actions on Google」の対応サービスを利用できるところも同じである。

部屋のどこにいても聴きやすい「360度サウンド」

ソニーがLF-S50Gの音づくりにおいて、最もこだわったポイントの一つが「360度サウンド」だ。スピーカーを置いた場所から周囲全方向に、音を均一にバランスよく広げられるように設計されている。この方式を採用した背景にはきちんとした理屈もあり、「AIスピーカーはあらゆる方向から音声で操作ができるので、音も360度どこから聴いても自然なリスニング感が得られるべき」だからなのだという。イメージとしては、リビングルームのど真ん中に置いても「いい音」を楽しめるスピーカーなのだが、もちろん部屋の隅っこにさり気なくインテリアとコーディネートして置いて使ってもいい。

フロント側にデジタル表示の時計を搭載。わざわざGoogleアシスタントに時刻を聞かなくても済む

360度サウンドの土台を支える高音質化技術には、大きくふたつのポイントがある。ひとつは上下に対向配置する2ウェイ・スピーカー構造だ。ボーカル帯域を担う約48mm口径のフルレンジスピーカーは、下から上に開口部を向けて配置する。反対に上から下に開口部を向けて約53mm口径のサブウーファーを乗せて、総合最大出力18Wのデジタルアンプで力強く駆動。

360度方向に音を拡散させるために、各ユニットの間に強固なABS樹脂製のディフューザーを挟み込み、本体メインシャーシに設けたスリットから音を導き出す音響デザインを採用している。スピーカーグリルは簡単に着脱でき、内部の構造が見られるようになっているのが楽しい。音とともに美しいプロダクトデザインを味わうのも一興だ。

背面にNFCのタッチポイントがある

鏡面仕上げのベース。電源はACアダプターで供給する

コンパクトなスピーカーは低音再生が苦手とされているが、LF-S50Gはサイズを超えて力強く、歪みのないクリアな低音の「質」そのものを高めるため、サブウーファーユニットの動きを最適化するためのバスレフダクトを付けた。ダクト内部には不要な響きを抑えるためのダンピング材を配置し、スムーズな低音再生に整えている。フルレンジ側のユニットは中高域のエネルギーを最大化するため、製造が困難な技術に敢えてチャレンジ。ボイスコイルボビンに、センターキャップをダイレクトに結合する手法を採り入れている。

実機のサウンドを試聴してみると、確かに中高域の伸びやかさと一体になった素直な低音再生が特徴に感じられる。360度方式のスピーカーは音の直進性がトレードオフになるので、どうしても線が細くてふんわりとした音になりがちだが、LF-S50Gは輪郭の鮮やかなボーカル、タイトに響くリズムもしっかりと聴かせてくれる。スピーカー本体のサイズ感はGoogle Homeに比べると若干大きいぐらいだが、これほどクリアで広い音場感を、これぐらいのサイズアップに抑えて実現できているなら、確かに「音がいいほうのスピーカー」を選びたくなる。

グリルカバーは簡単に取り外せて水洗いもできる

パネルに触れずに操作できる「ジェスチャーコントローラー」が未来的

スピーカーとしての使い勝手を高めるための機能は、ひとつにとても特徴的な「ジェスチャーコントローラー」がある。スピーカー本体は円筒形のデザインで、天面にGoogleアシスタントを呼び出すためのマイクユニット×2基が搭載されている。天面には手や指をかざして本体を操作する(ボリュームなど)、静電容量式のセンサーリモコンを内蔵。

本体のパネルに直接触れなくても、数センチほど手を離した距離からでも操作を受け付けてくれるのが未来的だ。左右方向のハンドジェスチャーで曲送り、下から上方向で再生・一時停止。中心で円を描くように指を動かすとボリュームのアップダウンになる。なお、周囲環境音とのバランスを、スピーカーが自動的に調節しながら音量を最適化する「おまかせ音量機能」も、発売後にアップデートで搭載される予定だ。

LF-S50Gのメインフレーム。対向配置になっているスピーカーレイアウトがわかるだろうか

左が約48mm口径のフルレンジスピーカーユニット。右は約53mm口径のサブウーファー

AIアシスタントに対して「時刻」を訊ねる手間が省けるように、フロント側にデジタル表示の時計を設けた。「OK Google」と声をかけると、フロント側にある4つのLEDが点灯する。

LF-S50GはIPX3の生活防水仕様なので、キッチンに置いて音楽を聴いているときに水しぶきがかかっても壊れる心配はなさそうだ。簡単に着脱できるグリルカバーはファブリック素材でできていて、汚れたら水で丸洗いができる。ただし洗剤の使用はNGなのでご注意を。

フルレンジとウーファーの音を拡散するディフューザーを間に挟み込む

フルレンジユニットから出力される音のエネルギーを最大化するため、ボイスコイルボビンにセンターキャップをダイレクトに結合する手法を採り入れた

音楽再生は、Wi-Fi経由でSpotifyやGoogle Playミュージックをストリーミングできるだけでなく、スマホやパソコンとBluetoothで接続すれば、CDリッピングの音源やインターネットラジオも楽しめる。ただし、オーディオコーデックは最もスタンダードなSBCのみで、aptXやソニー独自のLDACには非対応。スマホがNFCに対応していれば、LF-S50Gとワンタッチペアリングができる。

音場モードやイコライザー機能は、搭載されていない。LF-S50Gの設定は、基本的にGoogleの「Home」アプリを使う。Chromecast built-inの機能を使うと、対応するワイヤレススピーカーやAVアンプなどのオーディオ機器に対して、LF-S50Gで受けた音楽ストリーミングを飛ばしてマルチルーム再生が楽しめるようになる。

ダンピング材を配置したバスレフダクト

Google Chromecast built-inに対応する機器にLF-S50Gからのコンテンツストリーミングをホームネットワーク経由で送れる

ワイヤレススピーカーの「SRS-HG1」やAVアンプの「STR-DN1080」など、「Works with the Googleアシスタント」のサービスをサポートする機器であれば、さらに音楽再生と一時停止、音量コントロールなど、Wi-Fiでつながったハード機器そのものを、LF-S50Gから音声でコントロール可能となる。

電源はACアダプターによる有線供給。Googleアシスタントを搭載するスピーカーとしては、当面Google Homeがライバルということになりそうだ。それを1万円程度の価格差で、音質・操作性・デザインの面をそれぞれソニーらしく、バランスよく練り上げたスピーカーといえるだろう。