既報の通り、ドイツ・ベルリンで開催されているエレクトロニクスショーの「IFA2017」で、ソニーがGoogle アシスタントを搭載したワイヤレススピーカー「LF-S50G」を発表した。ヨーロッパでは、12月にイギリスで200ポンドで発売する予定。ドイツとフランスは発売が決まっているが時期は未定、価格は230ユーロを予定している。日本での発売も計画しているが、時期などの見通しはまだ立っていない。

今回はIFA2017のソニーブースを訪れ、LF-S50Gの開発担当であるソニービデオ&サウンドプロダクツの山崎達也氏に話をうかがった。

円筒形のスタイリッシュなデザインとしたLF-S50G

音声認識精度がAlexaよりも優れる、そしてもう一つ

山崎氏はまず、ソニーがスマートスピーカーの開発に着手した背景をこう説明する。

「ソニーでは音楽を楽しむひとつの手段として、簡単に声で操作できるワイヤレススピーカーを作りたいと考えました。LF-S50Gの最大の特徴はソニーの技術による高音質であると考えています。スピーカーを好きな場所に置いて気軽にBGM感覚で音楽を楽しんでもらえるように、本体にはフルレンジユニットとサブウーファーを備えて、ディフューザーで音を360度方向に広げる構造としています」

LF-S50Gの開発を担当する、ソニービデオ&サウンドプロダクツ V&S事業部 シニアビジネスプロデューサーの山崎達也氏

LF-S50Gは、天面に搭載した2基のマイクでユーザーの音声コマンドを拾い、ハードウェアでエコーキャンセリング処理を行った後に、音声データをGoogleのクラウドサーバーに送って処理を行う。音声認識の解析処理精度がAmazon Alexa以上に安定していたことがGoogleアシスタントを採用した理由であると山崎氏は述べているが、ほかにもう一つ大きな理由があるという。

「ソニーはGoogleと密接に連携して、Android TVを搭載するBRAVIAを開発しています。LF-S50Gと同じホームネットワークにBRAVIAがつながっていれば、LF-S50GのGoogle アシスタントを通じて、音声コマンドでNetflixやYouTubeで見たいコンテンツを再生できます。ソニーではChromecast built-inのオーディオ製品も揃えていますが、これらの機器と連携してマルチルーム再生も可能です。また、ChromecastそのものにつないでLF-S50Gから操作したり、Google Homeスピーカーとのマルチルーム連携もスムーズに行えます」(山崎氏)

同じGoogleのプラットフォーム上で、ソニーのAV機器とスマートスピーカーがつながって便利なコンテンツ体験が味わえる。こうしたメリットをすぐに提案できるのが強みということだ。

2基の高性能マイクを備えた

音声によるコマンドで操作できる。通常の家庭であれば、この写真ほど近づいて話しかけなくてもよいそうだ (IFAの会場なので周囲の雑音が大きい)。ダイニングテーブルにLF-S50Gを置いて、リビングのソファから話しかけても正確にコマンドを受け付けてくれるという

山崎氏にAmazon Alexaを搭載するスマートスピーカーをソニーが開発する可能性について聞いてみたところ、「検討はしていますが、その時に最良のAIアシスタントを選択していきます。今はGoogleアシスタントにアドバンテージがあると考えています」との答えが返ってきた。

日本での価格は3万円前後か?

本機は日本でも発売が検討されている製品だ。230ユーロは現在の為替レートで換算すればだいたい3万円前後になるが、Googleのスマートスピーカー「Google Home」は北米で129ドル/約1.4万円で販売されている。

山崎氏は「XperiaなどのNFCを搭載するスマホをワンタッチでペアリングして、スマホに保存した音楽をBluetooth経由で手軽に楽しむこともできます。特に音楽再生については、ソニーならではの高品位な体験が得られるスピーカーとして、付加価値をアピールしていきたい」と、価格差を超える機能と音質の魅力に自信をみせる。

LF-S50Gは洗練されたデザインや、天面に指を浮かせてなぞるように行うジェスチャー操作など、革新的な魅力を備えるスマートスピーカーだ。デモを体験してみると、そのパワフルなサウンドも含めてプレミアムな体験をぜひわが家でも味わってみたくなった。

天面にジェスチャー操作のための静電容量式タッチセンサーを搭載。左右にスワイプするようなジェスチャーで曲送りになる

天面をサークル状に指でなぞるようなジェスチャーでボリュームのアップダウンが切り替わる

唯一注文を付けたくなるところがあるとすれば、バッテリーが本体に内蔵されていないこと。本体にAC電源ケーブルを接続してバッテリーを供給する有線タイプのワイヤレススピーカーだが、いずれはポータブルタイプのスマートスピーカーがラインナップに加わってくることも期待したい。まずは本機の日本導入について、スケジュールのアナウンスを心待ちにしよう。

アメリカでは年末までに、Android TVにGoogleアシスタント対応機能を加えるアップデートを予定する。ブースでは付属のリモコンを使った音声操作のデモも行われた