2017年9月15日、日本サムスンが「SAMSUNG FOUNDRY FORUM JAPAN 2017」を開催した。このフォーラムは、その名の通り、サムスンが注力しているファウンドリ事業に関するフォーラムだ。ファウンドリ事業部の誕生やその成果、今後のプロセスロードマップなどが明らかにされた。開催に先だち、メディア向けの説明会が行われたので、内容を紹介する。なお、資料の掲載は許可されなかったので、ご了承願いたい。

SAMSUNG FOUNDRY FORUM JAPAN 2017では、サムスンファウンドリのジェネラルマネージャーのES Jung氏が講演を行った

ステージ上にSFFのロゴ

サムスンセミコンダクターはこれまで4つの偉業を達成

まず、サムスンセミコンダクターの社内体制が変わったことが説明された。これまでは、メモリ事業部とシステムLSI事業部の2事業部体制だったが、新たにファウンドリ事業部が発足し、3事業部体制となった。ファウンドリ事業部を新たに作ったのは、ファウンドリビジネスが今後も拡大することを予測したためだという。

サムスンのファウンドリ事業は、これまでにいくつもの偉業を成し遂げている。代表的なものは、「8インチウェハー」「28nm FD-SOI」「14nmプロセス」「10nmプロセス」である。8インチウェハーは180nmプロセスを用いた指紋センサーの製造に使われており、28nm FD-SOIは、NXPのプロセッサ「i.MX 7」の製造に使われている。また、14nmプロセスと10nmプロセスは、業界で最も早く製造にこぎ着けている。

メディア向け説明会で、8インチウェハーについての説明

サムスンセミコンダクターのファウンドリ事業におけるセールスポイントの一つが、FD-SOI(完全空乏型SOI)であり、従来のバルク技術に比べて、リーク電流を大幅に低減することが可能だ。FD-SOIは、現在、28nmプロセスでの生産を行っているが、次世代では18nmプロセスにシュリンクされる予定である。

また、バルク技術の14nmプロセスは、今後11nmプロセスへ進化する予定だ。11nmプロセスでは、14nmプロセスに比べて、チップサイズを最大10%縮小することが可能であり、パフォーマンスは最大15%向上する見込み。フロントエンドのデザインルールは14nmのものをそのまま利用でき、IPについても小変更で流用できる。

パッケージに付加価値を与えるソリューションにも注力。指紋センサーではファンアウトタイプのパッケージを、モバイル用途ではより薄くて高い性能を実現できるパッケージオンパッケージ、サーバー/ネットワーク用途ではシリコンインターポーザーを使ったI-Cubeというパッケージを提供している。また、韓国のファソンにS3ラインと呼ばれる新しい工場を建設中であり、2017年の第4四半期から操業を開始するとのことだ。この新工場では、10nm以下のプロセスでの生産を行う予定である。

新工場についての説明

サムスンのファウンドリ事業は、信頼性を追求し、顧客のイノベーションのための価値を与えることを重視していく。2018年にはEUVを使った7nmプロセスでの生産を開始し、201年には6nm/5nmプロセスへと進化させる。さらに、その先の4nmプロセスでは、現在の3次元トランジスタ(Fin FET)をより進化させたGAA(Gate All Around)を採用する予定だ。ファウンドリ市場では、TSMCが圧倒的なシェアを占めているが、サムスンのファウンドリ事業は、TSMCに次ぐ絶対的な2位を目指すとのことだ。

ファウンドリ事業のまとめについての説明