アップルは9月22日に、新型スマートフォンとなるiPhone 8、iPhone 8 Plusを発売した。去る9月12日のイベントで発表したスマートフォンのうち、より未来を提示したiPhone Xは11月3日に発売される予定となっている。
今回のiPhone発売日の出足は、過去のモデルよりも緩やかな雰囲気だ。
米国のアップルストア各店舗では例年通り行列ができ、いち早く新製品を手に入れようとする人が並んでいる。しかしオンラインストアを見ると、発売日の段階で納期が1カ月以上先になってしまっていたことに比べれば、どのモデルも1週間以内で手元に届く状態となっている。
発売日、シリコンバレーのパロアルトにあるアップルストアを訪れたアップルのティム・クックCEOは、「良い供給状態だ」とコメントしている。
今回のiPhoneの機会損失を防ぐ工夫
アップルは今回、9月22日と11月3日、という2つの発売日を設定し、3つの新モデルを用意する例年にない動きを見せている。
確かにハイエンドモデルを求めるユーザーが、iPhone Xの発売を待つ動きもあり、特にこれまで品薄状態が続いた大型ディスプレイとデュアルカメラを備えるiPhone 8 Plusも、納期1週間と比較的に手に入れやすい状態になっている。
それとは別に、安定供給を実現する工夫も行っている。
iPhone 7シリーズでは、2つのディスプレイサイズに加え、モデル末期では合計6色もの展開をしており、さらに保存容量も3種類だった。しかし今回のiPhone 8シリーズは、色を3色に絞り、保存容量も2種類とすることで、用意しなければならない仕様のバリエーションを大幅に減らしている。
もちろんそれは後に登場するiPhone Xの生産ラインを確保することも考慮しているだろうが、安定供給しやすい工夫は、機会損失を防ぐ上で効果的だ。そのことは、2017年春までのiPadの品薄による販売台数の伸び悩みから得た教訓ともいえる。