米Appleが9月12日午前10時(現地時間)にスペシャルイベントを開催する。場所は初公開となる新キャンパス内のSteve Jobs Theaterで、噂のiPhone新製品やLTE対応Apple Watchと合わせ、新キャンパスのお披露目が行われることになる。イベントの模様は例によってインターネット経由のライブストリーミングで世界に向けて配信が行われ、日本では13日午前2時から公式ページから対応WebブラウザまたはApple TV経由で見ることができる。イベント終了後もしばらく後にオンデマンド配信が行われることになるので、見逃した人は後日改めてチェックすることが可能だ。本稿では「噂の新型iPhone最終案内」と題してイベントの見所をまとめていきたい。

新型iPhoneに関する基本的な情報は、8月上旬に筆者がまとめた記事の内容からほとんど変化ないと考えていいだろう。そのため、まずは前回のレポートを参照してほしい。1ヶ月間でのアップデートとしては「外観」「名称」「新機能」が挙げられ、順番にチェックしていこう。

これまで何度か報じてきたように、2017年に登場する新型iPhoneは3種類のモデルで構成される。そのうちの2つは現行のiPhone 7の後継となる「4.7インチ」「5.5インチ」のモデルであり、残りの1つは今回のイベントでの目玉となる「有機EL (OLED)搭載の5.8インチ」のモデルだ。OLEDモデルは完全に新機軸のもので、ホームボタンを廃してディスプレイの表示/タッチ領域を前面ギリギリまで広げたデザインが特徴だ。ディスプレイサイズが5.8インチまで拡大する一方で、ディスプレイに比した筐体そのもののサイズはそれほど大きくなっておらず、むしろ5.5インチモデルより若干小型になるといわれている。これまで、この3つのモデルのサイズ感がいまひとつ説明しにくかったが、ドイツのベルリンで開催されたIFAにおいてモバイルジャーナリストの石野純也氏がケースメーカーの最新モックの画像を入手したので、これを参照するのが一番わかりやすいだろう。

そして新型iPhoneの名称だ。9 to 5 Macなどでもすでに報じられているが、その名称は「iPhone 8」となり、これまであったような「iPhone 7s」の名称をスキップする見込みだ。筆者も別の情報源から同様の情報を確認しており、「iPhone 8」となる確度は高いと判断している。また、こちらは筆者の情報源では最終確認できなかったが、OLEDモデルの名称は「iPhone X」とのことで、既存の製品ラインとは別枠での扱いとなるようだ。いうまでもなく「X」は「10」を意味しており、初代から数えて10周年記念モデルという位置付けのようだ。

最後の「新機能」が今回の本題だが、新型iPhone、特に「iPhone X」における「カメラ」と「ユーザーインターフェイス」が大きな特徴といえるだろう。まず後者の「ユーザーインターフェイス」だが、iPhone Xではホームボタンを持たないため、これまでホームボタンの利用を前提にした各種操作がそのままでは利用できない。そのため、ギミックとして「カメラ」と「サイドボタン」を組み合わせて、タッチパネルなしでもある程度の基本操作が可能になるよう工夫が行われているとみられる。9 to 5 Macでも触れているが、Apple Payの実行トリガーがサイドボタンのダブルクリックであったりと、Touch IDの代理を行うべく、いくつかのギミックが加えられているようだ。

また、これは筆者の予想だが、カメラ機能にもいくつかの工夫が加えられるとみている。顔認証を行うFace IDの採用にともなって、新型iPhoneでは3Dスキャン機能が加えられる可能性をMGI SecuritiesのMing-Chi Kuo氏が言及しているが、これがフロントとリアの両方に加わった場合、カメラ機能に大幅な変化があるのではというわけだ。具体的にはARKitとの組み合わせで、ARオブジェクトと背景を合成した特殊な写真のほか、切り抜き合成、さらには距離計測など、さまざまなアプリケーション応用が期待できる。3Dスキャンの実現には赤外線(IR)と深度カメラの組み合わせを利用することになるが、測れる距離は赤外線の照射距離に依存するため、フロントカメラはセルフィ用途限定で、リアカメラについては何らかの利用制限があるかもしれない。いずれにせよ、カメラ機能は注目ポイントであり、スペシャルイベントにおけるデモの見度凝るになるだろう。