ワインは現在“第7次ワインブーム”を迎え、2012年から2015年まで、4年連続で過去最高の消費量を更新してきた。それが、足踏みをし始めたのではないかと、ワイン取り扱い関係者からチラホラと聞かれるようになった。まだ、直近のデータが発表されていないので詳しいことはわからないが、この点をメルシャン 常務執行役員 営業本部長 館野敦氏に聞いてみた。
「チリ産ワインの急速な普及で、コンビニやスーパーのワイン売り場が広がりましたが、この動きが一段落したというのが鈍化の理由のひとつです。ただ、ワインの消費量は今後も伸びるとみています」と、館野氏は話す。
その理由はこうだろう。ワインを提供する飲食店は今や珍しくなくなったが、まだまだビールや清酒のようにほとんどのお店で提供されているわけではない。そうした飲食店の開拓にまだ余地があること。また、近年は「甲州」や「マスカット・ベーリーA」といった日本固有のブドウから醸造された“純国産ワイン”が注目され始め、世界文化遺産になった和食との相性に着目する料理人やグルメが増えていることが挙げられる。
ブーム到来も十分ありえる
さらに“水物”ともいえるが、酒類は何かのきっかけで消費量がグンと増えることが珍しくはない。たとえば1990年代後半、「ポリフェノール」が注目され赤ワインの人気が爆発的に伸びたし、安倍首相が各国の要人に贈ったことで知名度が上がった日本酒もある。近年は朝の連続ドラマの舞台が蒸留所だったことで、品薄になるウイスキーの銘柄があったほどだ。ただ、この場合は一過性となることも考えられ、こうしたチャンスが訪れたときに、いかにファンをつなぎ止められるかがカギとなる。
さて、冒頭で示したとおり、日本のワイン造りは140周年を迎えた。人生70年と考えれば、その“2生分”の年月はいかにも長い。だが、海外に目を向ければ、ワイン造りの痕跡は紀元前までさかのぼる。とはいえ、日本のブドウ栽培、日本の醸造技術は加速度的に発展し、今や世界的コンクールで金賞を受賞するまでとなっている。今後もグローバルで評価されるワイン造りを続けてもらいたい。