安川電機は、アーク溶接ロボット(ARシリーズ)の新たなラインアップとして、最大リーチ2010mmの「MOTOMAN-AR2010」(可搬質量12kg)の販売を、9月21日より開始することを発表した。価格はオープン。

MOTOMAN-AR2010

製造現場における溶接工程では、ライン長の短縮による省スペースや工程統合による工数削減等による高効率・低コスト・低エネルギーの高付加価値ラインの構築が求められている。

このたび販売を開始するアーク溶接ロボット「MOTOMAN-AR2010」は、今年5月発売の「MOTOMAN-AR1730」(最大リーチ1730mm)のロングリーチタイプで、最大リーチが2010mmへ拡大。これにより、建設機械の製造分野で必須となる大型・厚板ワークに対する溶接や、従来はロボット複数台で対応していた長尺ワークの溶接を1台で行える。

また、周辺設備への干渉を低減するスリムアームを採用することで、省スペースでの設置が可能となっているほか、従来製品の「中空アーム」を引き続き採用し、センサケーブルやエア配管をアーム内に収納できるため周辺設備とのケーブルが干渉しない。

また、各軸速度性能の従来機種比 最大15%アップによる高速動作、ロボット手首軸を短くし基本軸の移動量を最適化することによるタクトタイムの短縮、新たな軌跡制御の採用による軌跡誤差を最小化などにより、生産性の向上を実現している。

さらに、丸みを帯びた耐環境デザインを採用することで溶接時に飛散するスパッタや粉じんなどの堆積を少なくしているほか、手首軸のIP67標準採用やロボット旋回軸(S軸)上部のケーブル出口部を密閉構造とすることで異物浸入対策が強化され、従来機種より外的要因からの影響に強い構造となっている。

「YRC1000」と「MOTOWELD-X350」との組み合わせ

このほか、ロボットとコントローラ間の接続ケーブルが1本のみ(従来製品では2本)となり、セットアップの配線時間が短縮されるとともに配線の少ないすっきりとした設備を実現しているのに加え、異常発生時にはプログラミングペンダント上にアラームを表示し、異常箇所を特定しやすくなっているなど、メンテナンス性にも優れている。

なお、新たな制御方式を採用した世界各地域で異なる電圧や安全規格にも対応できる新型コントローラ「YRC1000」と合わせて使用することで、ロボットのパフォーマンスを最大限に引き出せるほか、「MOTOWELD-X350」と交流ユニット(XACU)を組み合せることで、薄板に有効な交流溶接が可能となる。