日立製作所は8月21日、首都高速道路が9月25日から千駄ヶ谷駐車場で実施する、ネットワーク型ETC技術を用いたシステムの試行運用に協力すると発表した。

今回の試行運用は、「ETCの多目的利用サービス拡大に向けた取り組み」の一貫として行われるもので、日立製作所はネットワーク型ETC技術を活用したシステムを構築し、駐車場の入庫時・出庫時にETCカード番号を用いた一連の通信・処理を行うシステム動作の検証を支援する。また、この検証においては駐車場精算機メーカーであるアマノが提供するETC対応駐車場精算機とも連携し、システムと一体となった動作確認を行う。

(左)千駄ヶ谷駐車場Aブロック (右)試行運用システムイメージ

将来、駐車場の入出庫管理がETCカード決済によって自動化されると、駐車場利用者は料金の支払い操作に伴う負担軽減や時間短縮ができ、結果として駐車場周辺の渋滞緩和が期待できる。それとともに、駐車場の運営事業者の視点では駐車券などのコスト削減が可能となるほか、商業施設などと連携した新サービスの創出が期待できる。

ETCは2001年に本格導入され、ETC車載器の普及台数は約8,000万台を超えるなど道路交通インフラとして定着しており、さまざまな場面での応用が期待されている。首都高速道路は、「世界最先端IT 国家創造宣言について(平成25年6月14日)」の中において示された「駐車場など、高速道路以外の施設でもETCなどのITS技術が利用可能となる環境を整備し、利便性の向上を図る」という方針に基づき、国土交通省の指導の下、「ETC多目的利用サービスの拡大」に向けて検討を進めてきた。これまでの検討の結果、セキュリティが確保された安全なシステム運用の目途がついたことから、今回の試行運用にいたった。

日立製作所は、試行運用にあたりネットワーク型ETC技術を活用したシステムを構築した。具体的には、車両の情報を駐車場のゲートに設置したETCアンテナで取得し、高セキュリティな通信ネットワークを介して送信する。遠隔地に設置した情報処理機器によって駐車場における入出許可を判定し、千駄ヶ谷駐車場のゲートが開閉する。その際、車両に対してゲートの通過可否の案内がデジタルサイネージに表示される。同社はこれら一連のシステムを構築し、通信・処理を行うシステム動作の検証を支援する。

なお、同社は今後も、ETCの多目的利用サービスの拡大に向けた検討を支援していくとしている。