“出張”を命ぜられるビジネスパーソンは多いことだろう。筆者もしばしば出張におもむくが、まれに移動手段をどうするか、悩むことがある。東京に勤めている筆者の場合、出張先が名古屋や大阪ならば、迷わず新幹線を選ぶ。
旅客機を使って名古屋や大阪に出向く方もいらっしゃるだろうが、この距離ならば多くの方が新幹線を選ぶのではないだろうか。
一方、北海道や九州、四国といった海を越える地域におもむく場合は、まず間違いなく旅客機をセレクトする。新幹線の路線から距離のある、島根県や鳥取県の都市を目指す際も旅客機が第一候補だ。
だが、新幹線か旅客機か、微妙に悩む行き先もある。たとえば青森。新幹線ならば約3時間30分の乗車時間、旅客機ならば1時間と少しの空の旅となる。移動時間だけを考えれば旅客機が圧倒的に有利だが、なぜ、どちらにするのか躊躇するのか……。
旅費のちがいというのもあるが、どうせ会社持ちの経費なので二の次。問題は、羽田空港までの移動時間、そして青森空港から市内への移動時間を考えると、一概に旅客機が有利とは思えないことだ。
先輩社員の出張に便乗
そんな折、この微妙な距離の都市におもむくのに、新幹線か旅客機か、どちらが有利なのか検証できる機会を得た。会社のS先輩が、ある都市に新幹線で出張するのだという。筆者は早速、“新幹線vs旅客機”の検証企画について上司に掛け合い、渋い顔をされながらも許可を得た。筆者は旅客機担当。先輩の出張にまさに“便乗”するというワケだ。
その目的地は広島駅だ。
まず、東京~広島への距離をチェックしてみる。東京駅から広島駅までは、直線距離で約680km。新幹線の場合、約3時間50分の移動時間となる。先ほど例に挙げた青森までの直線距離は約570kmなので、それよりも少し遠く、新幹線での移動時間も約20分長い。
一方、羽田空港から広島空港までの飛行時間は約1時間20分。広島駅まで4時間近くもかかる新幹線に比べれば、圧倒的に旅客機が有利に感じる。「これは勝負あったかな?」と、検証前からほくそ笑んだ。