それだけでは足りず、値上げも行った。本来、一皿100円のところを都心型店では120円にせざるを得なかったが、その代わり都心型店のみで販売するメニューも提供することにした。

都心型店の限定メニュー

一連の取り組みの結果、都心部でも経営が成り立つことが立証できたのだ。「数%ポイント、人件費をダウンできた。うちの郊外店は家賃比率が5%程度、都心だと10%近くになってしまう。その開きを人件費のダウンと、価格アップで吸収して、郊外店と同じくらいの利益が出せるようになった」。

都心型1号店は実験店舗

SUSHIRO南池袋店の成功は、非常に大きな意味を持つ。池袋は回転寿司の激戦区。そこで成功できれば、どこでもやっていけるからだ。1号店の位置づけも、アンテナショップではなく、あくまで「多店舗展開できるモデルにするため」と話す。いわば、実験店的な位置づけであり、多くのことが試されてきたわけだ。

実際、歩いてすぐの場所に、無添くら寿司があり、さらに少し歩けば、すしざんまいもある。「先方(くら寿司のこと)は100円で提供している。うちは120円で出している。それでも商売として成り立つくらい、来店いただいている。ここでできたら、どこでもできる」と自信を表す。

SUSHIRO南池袋店のスタートからそろそろ1年を迎える。アイドルタイムでも多数の来客があることなど、都心店ならではの傾向も掴んだ。SUSHIRO南池袋店は想定よりもいい結果が出ているとし、今年5月下旬にオープンした都心型2号店の「SUSHIRO五反田店」はさらに良好な結果が出ているという。

7月某日午後2時過ぎのSUSHIRO南池袋店の店内。アイドルタイムでもお客は絶えない

今より身近になるスシロー

2号店まで成功した都心型店舗。気になるのは、今後だが、どういったエリアにどの程度増えていくのだろう。水留社長は「大阪、名古屋、福岡、札幌など人が集まるエリアは東京だけではない。都心型店は全国規模で考えていきたい」とする。計画では、来期3-5店舗を構想しており、さらに8-9年後のイメージとして、都心型店を100店舗まで増加させたい考えだ。

都心型ならではの課題を克服し、多店舗展開が可能になった今、都心型が将来100店舗まで増えれば、スシローのイメージが大きく変わりそうだ。週末に家族と行く回転寿司屋から、平日でも毎日、気軽に楽しめる回転寿司屋に変わる。今よりぐっと身近な存在になりそうだ。