ここ数年、コードレス掃除機が好調だ。気がついたときにサッと掃除しやすいのが魅力とされているが、一方で連続使用時間や吸引力への不満も少なくない。こうしたコードレス掃除機の不満を解決するべく、東芝ライフスタイルは「新世代クリーナー」を開発したという。ここでは、8月3日に都内で開催されたメディア向け説明会をレポートする。

コードレス掃除機の新モデル「VC-NX1」

掃除機に求められる性能とは何か。東芝ライフスタイルが考えたのが、「強い吸引力」「軽い操作性」「利便性」「長い運転時間」だ。

同社の執行役員クリーン事業部長千田一臣氏は製品の開発背景について、次のように述べた。

「掃除機は人が持って動かす製品。コードによる動きの制約はストレスになるので、コードレスにすることで解消します。その他にユーザーが求めているのは吸引力と利便性。この傾向は今後も続くとみています。また、東芝の製品を買ってよかったとお客様に思っていただくには、操作性をよくすることです。さらに、キャニスター型にすることで電池の性能を向上させており、複数の部屋の掃除にも安心してご使用いただけます」

東芝ライフスタイルは、今回の新製品を「コードレスクリーナーの常識を変える新世代のクリーナー」として展開するという。

ここからは、キャニスター型のコードレスクリーナー「VC-NX1」を中心に説明する。

半円型の充電池で連続運転時間最長60分を実現

スティック型のコードレス掃除機では、モーターや充電池などの主要な部品を本体のグリップ付近に配置しているものが少なくない。それだと掃除をしている間、グリップを持つ手で部品の重量を支え続けるため、手元に負担がかかってしまう。そこで同社では、重量のある部品を手元操作部から分離させる「セパレートコードレス」を採用。手元にかかる荷重を軽減した。

キャニスター型でもコードレス

充電池を手元から離して配置したことで、充電池を大きくしても手元操作に影響しなくなった。VC-NX1では、従来機種の2倍となる10本のリチウムイオン電池を搭載。電圧は36Vで、モーターの強いパワーを生み出す源になっている。連続運転時間は標準モードで60分を実現した。

本体を小型化するため、モーターを包み込むように充電池を配置。充電池は無駄のない配置にするため半円型にしたという

強い吸引力に欠かせない「ハイスピードDCモーター」

新開発の「ハイスピードDCモーター HD45」は、回転軸の磁石を2極から4極にし、回転センサーで検知してデジタル制御を行うブラシレスモーターだ。モーター回転数は最大約12万回/分で、強力な吸引力を発生させるという。

最大入力450W、4極化することで効率とトルクを飛躍的に高めたという

新開発のハイスピードDCモーター HD45

急に方向転換しても転ばない

キャニスター型の場合、方向転換する際バランスを崩し、掃除機が横倒しになったり転がってしまったりすることがある。そこで、同社では引き回しのしやすさを追求し「ダブフェイススタイル」を採用した。これは、円筒形の本体の両端にさらに大きな車輪を配置した形状。上下が反対になってもそのまま掃除を続けられる。

【動画】VC-NX1の使用中に方向転換したところ

このほか、掃除する所の高さに応じてホースの向きが上下に稼働するので、エアコンの上など高い場所や、階段などの掃除などで本体を持ち上げても手首の負担を軽減するという。

本体のホースの向きに注目。床面を掃除するときはホースが下向き。上部を掃除する際はホースが上向きになる

実際に触ってみると、手元部分が軽いので操作が楽。自走式ヘッドを搭載しているので、床の素材に関係なく動かしやすかった。個人的に良いと思ったのはお手入れ性だ。ダストカップを外した後、つまみを動かしてプリーツフィルターのチリを落とさなくてはいけないのがちょっと面倒だが、外したダストカップは水洗いして清潔に保つことができる。

また、髪の毛などが絡みついて汚れるヘッド部分にも細かい配慮がされている。機種によっては、回転ブラシを裏返してからコインなどを使って外す手間があるが、VC-NX1では、裏返さなくてもブラシを簡単に外せて、さらにカバーとブラシを水洗いできる。この他、すきまノズル、ロングブラシ、ふとん用ブラシなどのアタッチメントを付属し、これらの付属品を収納するバッグも同梱する。

左右のレバーを引いてカバーを外すと、ブラシが外せる

付属品収納バッグを同梱しているのがうれしい

ゴミを吸い取る「ダストステーション」のスケルトンモデル。充電するたびにダストカップのゴミを自動で吸い取り、プリーツフィルターのちり落としも自動で行う。使用状況によって変わってくるが、約1カ月はゴミ捨てが不要だという