説明書を読まなくても使い方がわかるのが、iPhoneの魅力であり強みです。しかし、知っているつもりでも正しく理解していないことがあるはず。このコーナーでは、そんな「いまさら聞けないiPhoneのなぜ」をわかりやすく解説します。今回は、『どうして32ビットアプリがなくなったの?』という質問に答えます。

***

実は、App Storeにおいて32ビットアプリはすでにサポートされていません。Appleは2013年に64ビットプロセッサ「A7」を搭載したiPhone 5sを発売して以降、2015年2月に新規公開アプリの64ビット対応を義務付けるなど、着々とアプリの64ビット化を進めてきました。そして2016年9月には、App Storeで32ビットアプリの公開を停止しています。

32ビットアプリは、64ビットCPUでも動作します。一部の機能に互換性の問題が生じることはあるものの、大半の32ビットアプリは手をくわえることなく、64ビットCPU/64ビット対応OS搭載のiPhoneで動作します。なぜAppleは動作するものを急ぐように消してしまったのか、と疑問に思うかもしれません。

理由はいくつか考えられますが、そのうちのひとつは「メモリ空間」です。32ビットCPUを搭載するコンピュータは、4ギガバイト超のメモリを搭載していてもシステムが直接認識できる容量は4ギガバイトが上限で、32ビットアプリも同様です。現行のiPhoneはすべて64ビットCPU搭載機ですから、その能力をフルに発揮できる64ビットアプリへの誘導を図ることは合理的といえます。

「システムをシンプルに保つ」狙いもあるはずです。iOSに含まれているプログラムの部品群(ライブラリ)には、32ビットと64ビットそれぞれの実行ファイルが収録されていますが、32ビットアプリのサポートを終了すれば32ビットの実行ファイルは不要になります。Appleは64ビットCPUのみフォローすればよくなるため、開発者支援の負担が減ります。

アプリ開発者にしても同じことです。これまでパフォーマンスや互換性を重視するアプリは、32ビットと64ビット両方の実行ファイルを収録(通称「ファットバイナリ」)してきましたが、32ビット環境を考慮する必要がなくなれば、そのぶん開発にまつわる負担が軽くなります。

AppleはiPhone 5sの発表以来、システム/アプリの64ビット対応を進め、エンドユーザにも「将来のiOSのバージョンでは動かない可能性がある」と32ビットアプリの利用に対し警告を与えてきました。約4年の準備期間があったと考えれば、そう唐突なものではないでしょう。

今後32ビットアプリは新規公開されず、過去のものとなる運命です