平成28年度の税制改正により、電子帳簿保存法(電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律:電帳法)におけるスキャナ要件が緩和され、これまでの「原稿台と一体となったもの」に加え、スマートフォンやデジタルカメラで撮影した画像を紙の領収書の代わりに保存することが認められたが、コンカーは7月28日、電子帳簿保存法に対応した領収証の電子化を促進するための戦略を発表した。

同社が日本CFO協会と協力し、6月22日から7月6日まで日本CFO協会会員を主体とした日本企業の財務幹部に行った「改正電子帳簿保存法、企業の取り組み状況の実態調査」によれば、電帳法対応のメリットを感じている企業は91%に上っており、46%の企業は導入済みや導入計画があるなど、導入意向を示しているという。とくに5000人以上の企業で導入意向が強いという。

領収書電子化の導入意向

コンカー 代表取締役社長 三村真宗氏は、電子帳簿保存法対応の課題と対策について、「電子帳簿保存法は、タイムスタンプシステムの整備、電子化デバイスとの連携、画像管理などのシステム開発上の課題があるために普及しなかった。これらは、自社内でつくりあげるのは不可能に近い。そこで、これらのシステムをクラウド上でワンストップで提供する。それがわれわれの戦略だ。コンカーを使えば、電子帳簿保存法の要件を満たす環境を準備できる」と述べた。

コンカー 代表取締役社長 三村真宗氏

具体的にコンカーでは、税務署への申請および業務設計、経費清算、電子化デバイス、運用アウトソーシングの領域で新サービスを提供する。

コンカーが新たに提供するサービス(オレンジの部分)

税務署への申請および業務設計の部分はグローウィンパートナーズ、SKJ総合税理士事務所と提携し、税務署への申請サービス、業務設計のパッケージサービスを提供する。

グローウィンパートナーズからはConcur Expense向けに「電子帳簿保存申請パッケージサービス」を提供。検討開始から申請までの手順を解説した導入マニュアルやコンサルティングサービスを提供。SKJ総合税理士事務所からは、「帳簿書類電子化コンサルティング・電子帳簿保存法申請代行サービス」を提供し、事務処理フローのコンサルティングや税務署への申請代行サービスを行う。

また、経費清算では、これまで提供してきたConcur Expenseに加え、タイムスタンプサービスの提供を7月から開始した。

電子化デバイスでは、MTIのスマホアプリ「Feeder」、富士ゼロックス/リコーの複合機、およびPFUのスキャナがコンカーに対応した。

これらデバイスでは、同社が提供するAPIによって、デバイスからの領収書画像をタイムスタンプを付与してConcur Expenseに格納できる。

APIによって各社のデバイスやタイムスタンプサービスと連携可能

Feeder画面

Feederは、領収書の写真からOCRで文字をテキスト化。AIが組み込まれ、補正を行う。また、AIでは、店舗の種類によって、交際費、交通費などの経費の種別を判断する。

複合機からの取り込みでは、複数枚数を同時にスキャンしても、画像を個別に分割して登録。OCRでデジタル化、経費入力を自動化できるという。

複合機やスキャナからのスキャン

運用アウトソーシングとしては、コンカー監査サービスを日本市場に新たに投入する。これは、領収書にサインがあるかどうか、日付や金額があっているかなどをチェックする「領収書監査サービス」と、タイムスタンプが3日以内に付与されているか、社内の規定に適合しているか等をチェックする「規定監査サービス」の2つからなる。

「領収書監査サービス」は9月、「規定監査サービス」は10月にリリースするという。

「領収書監査サービス」と「規定監査サービス」

また、同社ではタイムスタンプの3日以内付与、法人カード利用などの規制緩和に向けて働きかけを行うほか、来年5月に請求書の電子帳簿保存法に対応した「Concur Invoice」をリリースする。

三村氏は、「電子帳簿保存法の利用申請の件数を年間数万件単位で普及させていきたい」と意気込みを語った。