カプセルホテルにどういうイメージをお持ちだろうか? 多くの方が「低価格で済む」「寝るためだけに利用する」「ほかが満室のときの急場しのぎ」といった印象を持っているのではないか。そして「オジサンくさい」というイメージもつきまとう。

グローバルエージェンツ 代表取締役社長 山崎剛氏

そんなイメージとは無縁ともいえるカプセルホテルが、京都府・河原町三条に開業した。「The Millennials」(ザ・ミレニアルズ)と名づけられたこのホテルの特徴は、共用スペースを広くとっていること。ホテルを企画・運営するグローバルエージェンツ 代表取締役社長 山崎剛氏によると、ホテル施設の約20%が共用スペースだという。一般的なカプセルホテルは宿泊客数を増やすため、ロビーなどは最小限のスペースになっていることが多い。それとは真逆のコンセプトだといえる。

では、なぜ共用スペースを広くとったのか。山崎氏は「旅行のスタイルが変化していることが前提にある」と前置きした。どういうことかというと、これまでは旅行代理店が主導して、旅行客にホテルなどの宿泊施設を紹介するのが一般的だった。つまり、“旅行代理店”が好むつくりに宿泊施設は開発されてきた。

名称のとおりミレニアル世代がターゲット

だが近年は、ネットによる予約はもちろん、SNSなどで個人が情報を入手できる。いい換えると、旅行客一人ひとりが、宿泊施設にリーチでき、逆に宿泊施設側も旅行客に直接訴求できる。山崎氏は「こうした旅行スタイルが普及したことで、特徴的な宿泊施設が生まれやすい土壌になっている」と指摘する。「FIT(Foreign Independent Tourist/外国個人旅行者)をいかに取り込めるかがカギ」(山崎氏)という。

ザ・ミレニアルズというホテルの名称からも、その意味合いが伝わってくる。「ミレニアル」とは、1980~1990年代に生まれ、2000年以降に20歳になる世代のことで、“世紀”を表す「ミレニアム」にかかっている。米国ではミレニアル世代が多く、今後の消費の中心になるといわれている。当然、こうした世代はスマホなどのIT機器操作に長け、旅行先の情報入手にこれらを活用する。