YKK APは6月28日、家電と連携、窓を通じて会話するなど、透明有機ELを搭載した世界とつながる窓「Windows with Intellgence」の実用化に向け、プロトタイプを公開した。 7月1日から同社 「ショールーム新宿」で一般公開される。
同社は、未来の窓を考えてカタチにする「未来窓」プロジェクトを2016年4月にスタート。
プロジェクトの目的について、YKK AP「未来窓」プロジェクト担当 経営企画室 事業開発部 部長 東 克紀氏は「窓の楽しさ、おもしろさに気づいてほしい。窓を使って何ができるのか、いろいろな機能を融合したら生活がどう変わるかをカタチにする」と説明する。
プロトタイプは、Home Connect(家電連携機能)、Video Chat(チャット機能)、Air Conditioning(換気機能)、Weather(天気機能)、Drawing(メモ機能)、Life Log(ライフログ機能)、Mirroring(ミラーリング機能)の7つの機能をもつ。
Home Connect(家電連携機能)では、窓の開閉のほか、エアコン、照明など家電をリモコンのように操作することができる。将来的には、窓が自動でコントロールすることも視野にいれているという。
Video Chat(チャット機能)は、字のとおり、離れた人とビデオ会議のようにチャットができ、Air Conditioning(換気機能)は、部屋の空気環境を測定してレベルを色でお知らせ。汚れた時には自動的に開閉し、換気する(手動設定も可)。タイマー設定のほか、AIスピーカーの音声アシストを設定すると、声をかけるだけで窓の開閉ができる(今後対応)。
Weather(天気機能)では、天気だけでなく、風速、紫外線、花粉情報、PM2.5の情報を表示。Drawing(メモ機能)では、窓がメモを残せるキャンバスになり、洗濯物取り込みのお願いなど、家族にメモを残すことができる。メモは外出先でスマホから送信することも可能だ。
Life Log(ライフログ機能)は、毎日部屋の中を定期的に撮影して、アルバムとして残すもの。部屋の中の監視や、安否確認にも利用できるという。
そして、Mirroring(ミラーリング機能)は、スマートフォンとペアリングして、画像を表示する。
そのほか、プラットフォームがAndroidなので、アプリを利用することも可能だ。また、2017年度中に国内外のメーカー各社が発売を予定している“AIスピーカー”との連携を想定しており、ユーザーの音声指示に反応し、窓の開閉のほか、他の家電の操作を行うことも可能となる。
「Window with Intelligence」は、タッチセンサー付き透明有機ELを採用した両面強化ガラスを含む3層構造。樹脂フレームと透明有機ELの組み合わせについては、YKK APとWill Smartで、共同特許出願中だという。
プロトタイプのため各種性能値(断熱性、気密性、水密性、耐風圧など)は保証しておらず、これらへの対応が今後の課題。サイズは、現状の透明有機ELのサイズ最大である55インチまでに対応。なお、透明有機ELの寿命は3-5年のため、ユニット式にし、交換できるようにするという。
同社は3年後の実用化を目指し、まずは法人に展開し、その後一般ユーザーに展開する予定だという。価格は、100万円以下を目指すとした。
東氏は、ディスプレイではなく、窓を利用した点について、「YKK APは窓を考える会社であるとともに、窓は外とつながっているものなので、中も見るが外を見るという点がある。中も外も考え、いろんなものを操作することを考えると窓が有利だ」と述べた。