大阪大学とダイキン工業は、情報科学分野を中心とした包括連携契約を締結したと発表した。

ダイキン工業の十河政則代表取締役社長兼CEO(左)と、大阪大学の西尾章治郎総長(右)

同連携は、2017年7月からの10年間、ダイキン工業が大阪大学に総額約56億円を提供し、大阪大学の研究者とダイキン工業の技術者による共同研究を含めた4つの連携プログラムを新たに実施するもの。資金提供の内訳としては、連携を行う10年間の運営費用として毎年5億円を提供、実証実験用設備等の整備費として約6億円が提供されることになっている。

社会を支える重要なインフラとなっている空調は、近年飛躍的に発展するAIやIoTとの融合により、暮らしや産業に新たな価値を創造できる領域として大きく期待されている。今回の連携では、大阪大学先導的学際研究機構附属の「暮らしの空間デザインイノベーションセンター(i-CHiLD)」内に、研究ユニット「ダイキン情報科学研究ユニット(Di-CHiLD)」を設置し、大阪大学の研究者とダイキン工業の技術者が、暮らしの空間や産業における「快適性・生産性・経済性・安全性・環境貢献」をテーマに研究成果の早期実用化を見据えた共同研究を行うという。さらに、国際的に活躍できるAI・IoTの若手研究者を養成するため、大阪大学の「高等共創研究院」や大阪大学大学院においても、空調制御やエネルギーマネジメントとAI・IoTに関連する研究が行われる。これらの幅広い取り組みにより、新たな価値を社会に還元することを目指すということだ。

実施される詳しい研究内容としては、共同研究・委受託研究として、人・機器・空間の様々な情報をセンシングする技術と、収集したデータをAIで解析する技術を3つの分野「情報化空間デザイン研究分野」、「スマート工場研究分野」、「マテリアルインフォマティクス分野」に大別し、それぞれの分野において、社会課題の解決につながる研究テーマを設定する。 また、先導研究プログラムとして、大阪大学の「高等共創研究院」が、情報科学系の若手研究者を10年間の長期雇用で全世界から公募。若手研究者は、空調分野でのAI活用などの大阪大学とダイキン工業が設定する実践的な研究領域にもとづいて自由な発想で研究を行う。また、学生研究員プログラム として、ダイキン工業が、大阪大学院生のインターンシップを受け入れ、情報科学分野における研究者の早期育成を目指したり、AI人材養成プログラムとして、大阪大学の教員がIT分野とは異なる研究や技術開発に従事してきたダイキン工業の技術者を教育したりするということだ。