iOS向けアプリは、iOS 10でiMessage向けのアプリやステッカーを内包することができるようになった。米国のアプリでは、コミュニケーションに関係ないものも含めて、iMessageステッカーを収録し、コミュニケーションの中でアプリが広まることを目指した取り組みも行われている。

例えば、先日Amazonによって買収された米国の高級スーパー、Whole Foods Marketは、デジタルクーポンなどを配信するiPhone向けアプリを用意しているが、このアプリにはWhole Foods Marketのテーマにちなんだステッカーが収録されており、そのステッカーを使うと、相手に同アプリがインストールされていなければ、アプリ名が表示され紹介されるようになっている。アプリをインストールしていないユーザーが、ステッカーを受けとって、「これは何?」となればしめたもの。それがApp Storeへの誘導となる仕組みなのだ。

iOS 11ではiPhoneのカメラにもQRコード読み取り機能が備わり、App Storeを直接開けるコードを印刷したり、AR機能を用いてアプリをその場所に配置する、といったアプリをダウンロードしてもらうための工夫が、さらに多彩になっていくことになる。

iPhoneでの体験に対して、バーチャル、リアル入り乱れてのアプリの紹介合戦は、今後も続いていくことになり、その手段についても、様々な創意工夫で面白いものが増えてくるのではないか、と期待している。

松村太郎(まつむらたろう)
1980年生まれ・米国カリフォルニア州バークレー在住のジャーナリスト・著者。慶應義塾大学政策・メディア研究科修士課程修了。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。近著に「LinkedInスタートブック」(日経BP刊)、「スマートフォン新時代」(NTT出版刊)、「ソーシャルラーニング入門」(日経BP刊)など。ウェブサイトはこちら / Twitter @taromatsumura