ソフトバンクグループは6月21日に株主総会を実施し、米スプリントCEOのマルセロ・クラウレ氏や英ARMのCEOであるサイモン・シガース氏など5人が、新たに取締役として就任することが承認された。この人事には同社の戦略が大きく反映されているが、それは一体何なのだろうか。

新たにソフトバンクグループの取締役に就任した5人(画像:ソフトバンクグループ第37回定時株主総会オンデマンド配信より)

スプリントとARMのCEOが取締役に

昨年、英半導体設計大手のARMを約3.3兆円で買収する一方で、昨年度には利益1兆円を達成するなど、大胆な戦略で成長を続けているソフトバンクグループ。同社は6月21日に株主総会を実施し、新しい取締役11名の選出がなされた。

その内容を見ると、代表取締役社長の孫正義氏や、代表取締役副社長でありソフトバンクの代表取締役社長を務める宮内兼氏など従来の取締役に加え、新たに社外取締役の2人を含む、5人の取締役が新任。退任する取締役が1人であることから、4人の取締役が追加されたこととなる。

マーク・シュワルツ氏を除いた4人はいずれも新たに取締役に就任する面々となる

過去にもソフトバンクグループの取締役を務めていたゴールドマン・サックスのマーク・シュワルツ氏を除くと、いずれも新しいメンバーとなるようだ。1人は米スプリントCEOのマルセロ・クラウレ氏。マルセロ氏は元々携帯電話の卸売事業を展開していたブライトスターのCEOであったが、ソフトバンクグループ(当時はソフトバンク)が2014年に同社を買収した後、経営が危機的状況にあったスプリントのCEOに就任。スプリントの再建に大きく貢献した手腕を買われてソフトバンクグループの取締役に選任されたといえそうだ。

そしてもう1任人はARMのCEOであるサイモン・シガース氏。サイモン氏はARMの生え抜きのCEOであり、ソフトバンクグループへの売却を決断した人物でもある。数あるソフトバンクグループ傘下の事業の中でも、孫氏はいまARMに最も高い関心を寄せており、ARMが今後ソフトバンクの戦略の主軸になると考えている。そうしたことからARMでの実績をソフトバンクグループの今後の戦略に役立てるべく、取締役に選任されたといえそうだ。

ソフトバンクグループはこれまでにも、アリババCEOのユン・マー氏など、グループ内で実績を残した人物を取締役に起用するケースはいくつか見られたことから、両氏の就任は順当だと言える。むしろソフトバンクの戦略が大きく現れているのは、他の2人の取締役である。