2012年頃から盛り上がっているワイン人気。過去にもワインブームは何回か起こっており、2012年から現在まで続くこのワイン人気は、“第7次ワインブーム”と呼ばれている。そして今回のブームは、あきらかに過去のものとは様相が異なる。

まず、過去のブームに比べ、長期にわたりそうな気配をみせている。2012年から連続で過去最大だった1998年の国内ワイン消費量を上回っていることからも、それがうかがえる。しかし、もっともこの7次ブームを実感させてくれるのは、ワインそのものの存在が過去に比べてグッと身近になったことだ。

コンビニのお酒コーナーに占めるワインの面積が増え、ワインを提供する和風居酒屋の存在もまったく珍しくなくなった。特にコンビニで販売されているワインの存在は、ブームの立役者だ。ほとんどが1,000円以下と安価で、なかにはワンコインでおつりがくる商品もある。こうしたワインはチリやカリフォルニア、オーストラリアといったワイン原産国から輸入されていることが多い。つまり、7次ブームの牽引役は海外生まれのワインなのだ。

しかし、国産ワインの存在感もグングン増している。「甲州」や「マスカット・ベーリーA」といった、日本固有のブドウ品種から醸造されたワインを指名するファンも多い。

原料となるブドウ不足の解消へ

新農園となる片丘地区からの眺望。市街地を見下ろせる

とはいえ、問題もある。それはワイン用ブドウが不足気味なこと。原料になるブドウがなければ、ワインの醸造はままならない。

そんななか、国内ワインメーカーの雄、メルシャンが新しくヴィンヤード(ブドウ園)を開園した。およそ2年前、同社が長野県・片丘地区にヴィンヤードを開くと発表し、いよいよ2017年4月27日、“1本目のブドウ苗木”の植栽にこぎつけた。

この植樹式に駆けつけたメルシャン 代表取締役社長 代野照幸氏は「日本ワインの人気は勢いづいています。先日開催された『日本ワインMATSURI祭』 (4月15・16日)では、17都道府県から46のワイナリーが参加しました」と、日本ワインを包む“熱気”について語った。また、「『シャトー・メルシャン』も好調で、2017年の第1四半期では、昨期の14%増という結果になりました」と、手応えを感じているようだ。ちなみにシャトー・メルシャンとは、同社の国産ワインを代表するブランドだ。

植樹式であいさつをする代野社長(左)。最初の1本の植栽は代野社長と小口利幸 塩尻市長の手で行われた