――今後のソニーストア出店計画についてはいかがですか。

河野氏 ひとまず、これで出店は終わりだと考えています。東京、大阪、名古屋、福岡、札幌の5店舗でMy Sony ID登録者の約8割をカバーできます。しかし、あらためて新店舗の出店が必要だと感じたら、また検討したいと考えています。ソニーストアは、出店すればすぐに効果が出るというものではありません。テレビCMを打って即効性を求める施策ではなく、ジワジワと効果が発揮されるものです。ですから、ソニーストアには、短期的な成果は求めていません。

ここ数年、ソニーには付加価値が高い商品が増えてきました。高画質を実現した4K BRAVIAをはじめ、ハイレゾ対応のウォークマンやスピーカー、プロカメラマンからも評価を得ているαシリーズやRX100シリーズなどのデジタルカメラなどがその代表的な商品であり、エレクトロニクス領域でしっかりとした商品が揃ってきています。

それに伴って、収益性も大きく改善をしています。こうした付加価値を持った商品をしっかりと理解していただくには、ソニーストアのような体験できる店舗の存在が重要です。テレビCMを削ってでも、ソニーストアの出店を重視してきたのは、長期的視点でみた場合に、ソニーストアの存在がとても重要になると考えたからです。そして、ここ数年の動きを見ると、付加価値の高い商品を品揃えしてきたソニーの商品戦略と、それを全国で体験していただくことができるソニーストアの出店がうまくマッチしたといえます。

プロカメラマン、ハイアマチュア、そしてエントリーユーザーまでを対象にしたαPlazaを展開していますが、これもソニーストアというインフラがあったからこそ、全国展開ができたといえます。しかも、カメラメーカー各社のサポート拠点と違って土日も対応できる体制を整えています。

また、プレイステーションVRは体験してもらわないとそのすごさが理解できないものですが、その点でもソニーストアの存在は効果があったといえます。ソニーストアは、来るたびに、新たな発見と感動の体験空間を実現することを目指しています。デジタルとリアルを組み合わせることで、ソニーファンに最適な情報をお届けし、感動の体験をつなげてもらいたいと思っています。ソニー商品の価値を高め、1人のお客様に、もっとたくさんのソニー商品を使っていただき、感動を与えることが我々の役割です。2017年度もそうした取り組みを加速したいと考えています。

プレイステーション VRは体験型の製品だ