リコーは、4月12日、2019年度を最終年度とする第19次中期経営計画を発表した。2017年4月1日付で、社長に就任した山下良則氏が陣頭指揮を執る新体制での新たな経営方針となる。
その山下社長が、最初のスライドで示したのが、「過去のマネジメントとの決別」であった。
「成長を阻害する遺産や前例は、聖域を設けず見直す」とし、「RICOH再起動」を宣言してみせた。
山下社長が打ち出す「RICOH再起動」では、トップダウンでやり抜く「構造改革」、事業を絞り込み、他社が嫌がるような勝てる戦略展開を徹底する「強みを軸とした成長事業の重点化」、ステークホルダーの信頼を再構築するための「結果を出す実行力と責任」を柱に掲げる。
「社内外に対して、リコーの経営に対する評価、中期経営計画に対する期待をヒアリングしたが、厳しい意見が寄せられた。リコーの存在が疑問視されるという声さえも聞かれた。社長就任前から経営陣の一人として経営を担っていたものとして、自己否定から取り組む覚悟で進める」とした。
新社長 5つの暗黙の了解を見直す
そして、過去の経営に対して、手厳しく評価する。
「成功体験やオフィスプリンティング事業のリーディングカンパニーという自負から、市場を直視しない自分本位の戦略立案、戦略展開となっていた」と指摘。「コスト構造の抜本的転換を先延ばしにしていたこと、事業ポートフォリオの選別が徹底しておらず、利益がでない、将来性が描けていない事業を止めずに継続したこと、サービスなどの成長事業も、顧客ニーズや自社の強み、競争戦略の視点が弱く、結果として総花的であったことがみられた。また、中期経営計画の目標を達成できないのは、一部の事業や機能において、責任範囲と役割、権限が不明確な部分が存在し、経営に問題があったといわざるをえない」と、具体的な問題点を示してみせた。
「市場環境や顧客を直視し、やるべきことを確実に実行することで、ステークホルダーの期待に応える経営により、信頼を回復する」と、体質改善に強い意思をみせる。
そして、「長く染み着いていた5つの原則を見直す」と意気込む。
リコーには、「マーケットシェア追求」、「MIF(複合機の設置台数)拡大」、「フルラインアップ」、「直売・直サービス」、「ものづくり自前主義」という市場規模拡大を前提とした「5つの暗黙の了解」(山下社長)があった。