いよいよ、この連載も最終回。とりとめもない感想を、Bamboo Slateで描いたイラストを交えてまとめてみよう。

●Bamboo Slateのある生活
DAY1 カバーレスに! カジュアルに使える本体
DAY2 使い方はかなりシンプル、デジタルデータは応用が利く
DAY3 「Inkspace」は、手書きの文字が正確にテキストに変換される!
DAY4 リアルタイムに手書き作業を共有できる「Ink Collaboration」
DAY5 手書き(風)の年賀状をすばやく作る
DAY6 別のメモパッドやノートを装着して使う
DAY7 紙の「ToDoリスト」でゲーム的にタスクをこなす
DAY8 2つ折りのフォリオタイプ「Bamboo Folio small」と比べてみた
DAY9 オリジナルのスタンプを作成する


何気に希望が叶えられていた

思い返せば、最初にFolioタイプの「Bamboo Spark」を使ったのは、2016年の5月。台北の展示会、COMPUTEXでの取材でも活用した。その後、ワコムの担当者と話す機会があり、「カバーがない方がカジュアルに使えるよね」「ペンはもっと質感が高いとうれしい」など、気になった点を伝えてみた。その時担当者は、「今は話せないけどフフフ……」というような、含みのある反応だった。そして、Bamboo Slateが発表される。カバーがなく軽量、カジュアル。ボタン操作もシンプルになり、ペンも持ちやすく改善されていた。しかも、large(A4)とsmall(A5)の2サイズ展開。これは意外だった。

ユーザー目線での希望が実現した「Bamboo Slate」

COMPUTEX TAIPEIの取材でもわりと使った

大ですか小ですか?

そして、マイナビニュースの担当編集からレビューを依頼される。「大きいのと小さいのと、どっちがいい?」と尋ねられたが、机の上の空きスペースと携帯しやすさを重視してsmallを選択した。

東京は竹橋方面にいる担当編集のイメージ

サイズに関しては、イラストや図といったグラフィック要素の量によって選ぶのが正解な気がする。だが、たとえば雑誌のレイアウト(デザイン)や何かの設計図といった、多くの要素を1枚にまとめる必要のあるものは、smallではスペースが足りなくなる。今回描いているような絵も、1点2点ならsmallで十分だが、コマ割マンガならlargeを使いたい。逆にテキストのメモが中心なら、smallでもページを送っていけば済むし、余白が気にならないぶん、頻繁に使える。

携帯性については圧倒的にsmallが有利。ただ、外出時に携帯するのは“たまに”だ。いつもカバンが重く、パソコンの方が優先順位が高いことが個人的な理由としてはある。さらに半分のサイズ(A6)も出してくれないだろうか。一部の小さなガジェット好きがこぞって買うこと間違いなしでしょう(笑)。

イラスト用じゃないが普通に描くには便利

手書きのメモをデジタル化する方法は、ほかにもある。パソコン用のスキャナーや、スマホのスキャンアプリなどだ。ただ、その手間やスピードは圧倒的にBamboo Slateが有利だ。

下書きをともなう作業では、さらに時間を節約できる。図やイラストを描く場合、えんぴつ・シャーペンで下書きし、付属のペンで清書する。これの何がいいって、下書きの線を消しゴムで消す必要がない。図やイラストは、ほぼ100パーセントBamboo Slateで描くようになった。

とはいえ、Bamboo Slateはプロの漫画家やイラストレーター向きではない。線の太さや色を、パッと見てわかるレベルで変えることができないからだ。このあたりは、液晶タブレットなどとの大きな違いとなる。

Bamboo Slateなら消しゴムかけ不要。だが、実線の下手さが隠しきれないのは同じだ

机上デジタルツールの1軍選手

使い始めてから5カ月ほど経ったBamboo Slateだが、パソコンやスマホに次いで使うデジタルツールとして定着した。野球やサッカーに例えるなら、確実に1軍入りしている。人によっては毎日使うスタメンじゃないかもしれないが、時にいい仕事をしてくれる選手だろう。smallなら机の上に出しっ放しにしておいても邪魔にならないし、普通のメモパッドとして使うこともできる。

もちろん、まったく紙にメモしないという人には不要だろうが、普通にメモパッドを使っている人、アイデアを書き留めるには紙がいいと思っている人には、買って後悔のないアイテムだろう。smallなら16,200円、largeで19,440円(ともに税込)という実売価格も手を出しやすい。

と、ここまで書いてきて、手元のBamboo Slateはレビュー用の借り物だったことを思い出した。彼を返却したら、Bamboo largeかBamboo Folioを買ってみようかなとも考えている。