「Bamboo Slate」は、スマホなどとの1対1だけで使うこともできるが、専用のクラウドサービス「Inkspace」に加入することで、より便利になる。Inkspaceのプランは2種類。無料の「ベーシック」と、月額300円の「Plus」(現在、Bamboo Slate/Bamboo Folio購入者向けに無料トライアルを実施中)だ。

Inkspaceへのログイン・新規アカウント取得はWacom Inkspaceアプリから可能

Wacom IDを取得し、ログインできるようになった

ベーシックとPlusの違い

●ベーシック(無料)
いわゆるクラウドストレージ的な機能は、「ベーシック」でもだいたい入っている。ストレージの容量は5GB。アプリのデータを自動保存、他のデバイスで共有、といった基本的な機能が提供される。メモ書き程度のファイルなら、容量を使い切ることはなかなかないだろう。シンプルにバックアップするだけなら、この無料プランでも十分ではないだろうか。とはいえ、ワコムのインクテクノロジーの進化を実感するなら、次のPlusもチェックいただきたい。

●Plus(月額300円)
ストレージの容量は50GBに拡張され、さらに手書き文字をテキストデータに変換する「Ink to Text」や、図やメモをベクター形式(.SVG)に出力する「Ink to Vector」、手書きデータをリアルタイムに他の人と共有する「Ink Collaboration」といった機能が利用できるようになる。

万人に役立ちそうな機能は「Ink to Text」だ。紙に印刷された活字であれば、かなり正確にテキストデータ化できるようになっているが、手書きの文章をテキストデータ化する実用的な製品はこれまでなかったように思える。

筆者は悪筆なこともあり、半信半疑でこの機能を試してみたのだが、驚くほど正確にテキスト化された。字の汚さがずっとコンプレックスだっただけに、「認めてもらった」感がある(笑)。

手書き文字をテキストデータに変換する「Ink to Text」を試してみよう

「Bamboo Slate」からスマホにデータを送信し、エクスポートのメニューから「Ink to Text」を選択

正確にテキストデータに変換された!

テキストデータなのでメッセージやメール、SNSへの投稿が可能

縦書き対応を希望!

スマホの音声入力でテキスト化する技術もかなり高くなっているが、同音異義語などが書き文字では間違えないので、より実用的だ。とくに、対面でメモをとる際には、パソコンでカチャカチャと入力することがはばかられる場合がある。視線がパソコンの画面に向かいがちになるせいだろうか、相手との間に機械が置かれるせいだろうか、快く思わない人もいるようだ。「Bamboo Slate」であれば、見た目が紙のメモパッドであり、不快に思う人は皆無だろう。

大御所の作家などは、いまだ手書きで原稿を書いている人がいるが、これを使えば、編集者の手を煩わせることなくテキストデータにできるだろう。ただし、試してみたところ、縦書きでは変換ができなかった。縦書きに対応してくれれば、俳句や短歌でも使えるのにナア……。

パソコンのWebブラウザからもアクセスできる。雑誌のページレイアウト案(ラフ)を描くのに便利

次回は、手書きデータをリアルタイムに他の人と共有する「Ink Collaboration」についてお送りします。