手書きのメモをデジタル化するというと、使い方がややこしいのではと身構える人もいそうだが、Bamboo Slateはとてもシンプルだ。

まずは、ボタンを3秒ほど押して電源を入れる。ボタン横のLEDが緑なら、何も書かれていない白紙ページ、青なら何か書き込まれている状態にある。

新しく書き始める際に、LEDが青になっているなら、ボタンを1回押すと緑に変わり、白紙の状態になる。付属のボールペンで書き込むと、LEDがすぐに青に変わるので、これはすぐに理解できるだろう。

そして、書き込みが終わり、次のページに移る場合もボタンを1回押す。基本、この繰り返しで使用する。

本体の操作は基本ワンボタン。LEDが緑なら現在のページが白紙、青なら書き込みされた状態にある

付属のボールペンで紙に書き込み、ボタンを押すと……

Wacom Inkspaceアプリにデータが転送される。ペンで書きながら、リアルタイムにアプリ上に反映させる「ライブモード」も利用できる

ペアリングはBluetoothで

本体内には最大100ページ分のデータを保存できるのだが、そこまで溜めずに、スマホやタブレットで手書きしたデータを活用する人がほとんどではないだろうか。専用アプリの名前は「Wacom Inkspace App」で、iOSとAndroidに対応している。ちなみに、次回紹介するクラウドのサービス名は「Inkspace」で、若干まぎらわしい。この原稿ではアプリの方をInkspaceアプリと表記することにする。

Inkspaceアプリをインストールしたら、Bluetoothでペアリングする。アプリの画面に従って作業すれば完了する。初期設定ではパッドの向きを設定するが、一般的にはペンのホルダーが左に来るような向きで使う人が多いだろう。普段は縦向きで使用し、たまに横で書いたとしても、デジタルデータはアプリ上で回転できるので、さほど気にすることはない(設定は後からでも変更できる)。

そして、Bamboo Slateの電源が入った状態でInkspaceアプリを起動すると、自動的にデータが転送される。

Inkspaceアプリを起動すると、ペアリングのガイダンスが始まる。まずはBamboo Slate本体の電源を入れる

6秒間ボタンを押し続ける

本体を認識するので、確認して「次へ」をタップ

本体のボタンを押す

本体には好きな名前を付けることができる。「次へ」をタップ

本体の向きを設定。これでペアリングの作業は完了

手書きデータはフレキシブルに編集できる

アプリに取り込んだデータは、画像データやPDFとして出力できる。メール、SNSその他のアプリで共有が可能だ。さらに、次回以降に紹介する有料プラン「Inkspace Plus」に加入すれば、手書き文字をテキストデータに変換する「Ink to Text」も使える。

Inkspaceアプリで、「編集」をタップすると「描画」と「分割」というメニューが現れる。「描画」は、画面上でメモを加えたり、消しゴムツールで一部を消去したり、一部を切り取って移動できる機能。簡素なメモアプリのようなものだ。

「分割」は、1枚のメモを、タイムマシンのようにさかのぼり、分割して保存する機能だ。わかりやすく言うと、「あいうえお」と書いたのを「あいう」と「えお」に分割し、別々のデータとして活用できる。これは、ページめくりの操作を忘れたときも役立つ。紙もメモパッドをめくって、ボタンを押さずに新しい紙に書いてしまうと、2つのメモが重なった状態のデータになってしまうが、この機能を使えば解決できる。3枚以上重ねてしまった場合でも、複数回作業すれば大丈夫だ。

このデータの編集しやすさは、デジタルならではで、紙よりも自由度が高い部分だろう。ただ、電源を入れ忘れて書いた場合はどうにもならない。ただの紙のメモパッドだ。とはいえ、紙には記録されているので、ピュアなデジタルタブレットでデータが失われるトラブルに比べれば大したことではないが(紙をスキャンするなりすればいいからだ)。逆に、最初からデジタルデータとして扱わないことがわかっているなら、あえて電源をオフで使ってもよいだろう。

取り込んだメモは画像ファイルやPDFファイルにエクスポートできる

メモの編集は、「描画」と「分割」の2種類が用意されている

画面タッチでメモを書き加えたところ

指定した箇所を別の場所に移動

「分割」では、画面下のスライドバーで、筆跡をさかのぼることができる

間違って2重にメモを取り込んでしまっても、「分割」機能により、2つのデータに分けることが可能

次回は、Bamboo Slateと連携するクラウドサービス「Inkspace」についてお送りします。