グローバルで評価されている日本のマンガやアニメーション。だが、その評価とは裏腹に、予想以上に海外での収益に結びついていない。これはどういうことなのだろうか……。日本のマンガやアニメ、ゲームの収益増を目指す、ダブルエルに聞いてみた。
ダブルエル 代表取締役 保手濱彰人氏は、「グローバルでのコンテンツ産業は、2020年には約84兆円の市場になるといわれています」と切り出した。84兆円といえば、日本の国家予算に迫る数字。グローバルで、映画や書籍がいかに愛されているかがわかる数字といえよう。
一方、日本でのマンガ・アニメの国内での市場は約2兆3,000億円だという。出版市場が1兆6,000億円ほどだということを考えれば、決して小さな数字ではない。ただ、日本のマンガ・アニメはグローバルで高い評価を受けているのにもかかわらず、海外での売り上げは5,000億円ほど。80兆円超になるといわれる市場においてこの数字は、微々たるものといえよう。
海外ユーザーに行きわたりにくいマンガ
保手濱氏は、「日本の過去のマンガやアニメが埋もれ、そうしたコンテンツが海外でポテンシャルを発揮できていないことが要因のひとつでしょう」と語る。つまり、過去に累々と積み上げたコンテンツが、世界に知られていないのが、評価のわりに収益を上げられていない理由のひとつだとする。
そして、もう一点。日本では、「出版社→取次→書店」というルートにより、出版から販売までが迅速かつ、全国網羅的に行われる。だが、こうした販売網は日本独自のものといってよい。海外では取次のネットワークは日本ほど充実しておらず、書店も少ない。書籍として、マンガが海外のユーザーに行きわたりにくい構造にある。
だが、そうした構造だからこそ、早くから電子で書籍を読む文化が発達した。