この地に六本木ヒルズや東京ミッドタウンができたことは、オフィス供給や商業施設の賑わい以外にもメリットを生んだ。それは緑地の提供だ。

六本木はその地名とは裏腹に、“緑”つまり樹木が少ないといわれてきた。だが六本木ヒルズには「毛利庭園」が、東京ミッドタウンには「港区立檜町公園」が隣接されており、周辺住人の憩いの場としてその役目を務めているほか、緑化による温度上昇抑制にも一役買っている。千葉大学が2007年に行った調査によると、東京ミッドタウン付近は、周辺よりも昼間で3度、夜間で1度低いのだという。

港区立檜町公園(左)。ミッドタウンガーデンに登場した「江戸富士」

多様化する六本木の来客者

結果、六本木を訪れる人々の顔ぶれが変わった。

まず、親子連れが増えた。歓楽街だったこの地に、子どもの手を引いて歩く人々の姿が数多くみられるようになった。これはショッピングに訪れるだけでなく、周辺にタワーマンションが増えたことも一因だろう。そして若い女性が増えた。筆者が取材のために東京ミッドタウンを訪れたのは3月中旬。卒業式帰りであろう、艶やかな袴に身を包んだ数多くの女性が東京ミッドタウンに吸い込まれていくのを確認した。

そして、外国人の姿が目立つ。インバウンド観光客の増加によるということもあるだろうが、ベビーカーを押している外国人がチラホラ散見できることを考えると、定住している人も少なくないのだろう。以前、森ビルの記者会見で、外資系企業が港区に集中していること、大使館が80カ国超も集まっていることを知った。生活基盤が港区にある以上、六本木に訪れる機会が多いのだろう。

新たに新設された礼拝スペースと、インフォメーションに用意されたベビーカー。多様化する客層に対応した設備を投入している

いずれにせよ、六本木は大きく変わった。飲み屋街という顔は、今なお色濃く残っているが、ファッション、飲食、そしてファミリーが楽しめる街に変わってきた。今後の10年、いや20年、どのように変化していくのか見極めたい。