PPMは2013年から開発が始まり、2014年には実証実験として、経済産業省のプロジェクトである「大規模HEMS情報基盤整備事業」で提供された。ここでは、電力がいつ、どれぐらい使われたかといった電力データを収集。1年半の期間中で14,000件のデータをPPMで管理した。

同事業では、複数の事業者が集積した情報からそれぞれのサービスを収集したが、そうした複数の事業者が提供する複数のサービスに対して、出す情報、出さない情報、第三者に流通させてもいい情報、などといった設定が行えるようにしたという。「0か1かではなく、出したくないデータだけは止める、といったことができる」と宇佐見氏は語る。

HEMSの実証実験でもPPMが利用された

利用者が開示データを細かく管理

従来、個人情報の提供には「利用規約の同意を取る」というチェックが用意されるが、「これだけではユーザーが不安だと思う」と宇佐見氏。利用目的などは利用規約に記されているが、文字が多く、小さく、読みづらい。

ユーザーにとっては、開示してもいいと思う情報、開示したくないと思う情報があっても、すべて同意しないとサービスが利用できず、そのまま同意してしまう、という場合もある。PPMでは、取得する情報、第三者に提供する情報といった項目に対し、開示してもいい情報、開示したくない情報、第三者には提供したくない情報といったきめ細かい設定ができる。

従来、大雑把な同意1つだけで、すべての集集、流通が許諾されていたが、細かく制御できる

こうした細かい制御を好ましいと感じる人が多く、サービスごとに共有する情報を選択できる点などが好まれたという

さらに、どういった情報の利用があったかを、履歴として保持しており、ユーザーがいつでも確認できる。自分のデータがどれだけ利用されているかを確認でき、それを見て利用を停止する、といった操作もできる。

自動車の例では、通常は車の所有者とドライバーは同一だが、例えば自動車保険では所有者本人や子供、それぞれの年齢などの属性に加え、コネクテッドカーを利用して運転履歴などのデータを吸い上げ、割引を提供するとったサービスの提供もあり得る。

そうした際に、子供が運転しているときの情報は除くといったこともできるし、個人の履歴を提供することで、車をレンタルしたときにその人の好きな音楽環境にするといったこともできる。借りた車で聴いた曲は知られたくないので、ドライバーの情報とは切り離して保管する、といった具合にデータを個別に管理できる。

「スマートフォンはだいたい所有者と利用者が一対一だが、一般的にヒトとモノの関係はそうとは限らず、データが誰のものか、というのは重要になってくる」と宇佐見氏は強調する。