The Roastは誰でも手軽に焙煎ができ、しかも失敗がない。とはいえ、前述したような「自分だけの設定を作る」こともできない。このため、筆者は「焙煎に何を求めるか」で評価が分かれるサービスだと感じた。

自宅焙煎は「焙煎時の技術」も必要だが、それ以外にも面倒な手順が多い。まず、普通の生豆を購入すると、焙煎の前に生豆を洗ったり、虫食いや欠陥、未成熟豆をピックしたりという作業が必要。これが意外に時間がかかり大変なのだ。豆によっては一割以上が欠陥豆ということもある。また、焙煎後はドライヤーで豆を冷やしたりと、焙煎以外にも手間が必要。このため、焙煎前には「やるぞ!」という意気込みが必要になる。もちろんその分、微妙な調整ができ「自分好み味」を際限なく追求できる楽しさもあるのだが、手焙煎は時間があり、失敗しながら試行錯誤できる人向けだと感じる。

一方、The Roastで頒布される豆は非常に高品質。最初は200gの生豆で1,900円~というのは、なかなか強気と感じたが、この欠陥豆の少なさなら納得できる。

焙煎後に広げた豆。白っぽいのは未成熟の欠陥豆。しかし、欠陥豆の量は非常に少ない

また、焙煎前に洗浄する必要もなく、とにかく焙煎が簡単。しかも「絶対に失敗しない」のも嬉しい点だ。このため「手軽に美味しいコーヒー豆の焙煎を楽しみたい」「焙煎の楽しみを知りたい入門機」を求める層にオススメできる。

細かな調整はできないとはいえ、ひとつの生豆で複数の味が楽しめ、しかも焙煎したてのコーヒーを味わえる。さらに焙煎直後から数日たった味の変化も楽しめるのも魅力。じつはコーヒーの生豆は青臭く、あまり良い匂いではないのだが、焙煎をすると徐々にチョコレートのような甘い匂いになり、最終的には香ばしいコーヒーの香りに変化する。こういった「焙煎の楽しさ」を、苦労することなく楽しむのにThe Roastは最適なサービスだと感じた。