サイドメニューを巡る素朴な疑問
現在、大手回転寿司屋はサイドメニューを充実化させる傾向にあるが、圧倒的に種類が多いのが、無添くら寿司だ。各社ともにラーメン、うどんは提供しているものの、メニューの多さは無添くら寿司には勝てない。では、なぜ、無添くら寿司はラインナップを拡充できるのか。その理由を聞くと、なかなか面白い。
くらコーポレーションの広報宣伝部東日本担当の辻明宏マネージャーによると、その答えは、店舗オペレーション、開発体制にあるという。
同社では常に設備投資を他社に先駆けて行っており、回転寿司が廻るレーンでは、寿司をウイルスやつばから守るキャップの"鮮度くん"を導入、そのキャップ埋め込まれたICタグにより、一定時間を経過した寿司は廃棄する、オーダー品は専用レーンを使ってお客に届けるなど、時間効率、人力面において、無駄のない店舗オペレーションが行われている。
こうした徹底的なオペレーションが土台となり、生じた余裕を別の作業に充てる店舗オペレーションが可能になっているという。他社も同様に専用レーンの設置などオペレーションの整備を進めているが、他社より優位にあるというのが辻氏の見立てだ。
辻氏は次のような例も挙げる。「うちでは天丼、牛丼には普通の白米を使っています。酢飯と普通の白米とで炊き分けていますが、他社では人件費やオペレーションの問題でやっているところはないのではないでしょうか」。店舗できることを整えなければ、いくらメニュー開発を行ったところでうまくいかない。それを整備したというわけだ。
もうひとつの開発体制についても納得の答えをくれた。同社は食の安心のこだわりとして、すべての食品から、化学調味料、人工甘味料、合成着色料、人工保存料を排除している。同社ホームページでも、その実現には多くの歳月と投資が必要だったと記されているが、この開発体制自体がスピード感のあるメニュー開発につながっていると辻氏は話す。
たとえば、マヨネーズ。四大添加物排除の姿勢から、20年も前のことではあるが、大手食品メーカーに依頼しても断られたこともあったとし、自社開発せざるを得なかったという。ラーメンにしても出汁からつくる、フライに使用するスパイスも調合から開発する、そうした自前で整える文化があり、多くのサイドメニューを他社に先駆けてリリースできているというのだ。