AIの導入でさらにスピードアップを図る

スマートフォンを使って手続き自体を高速化させたライフネット生命だが、保険の見積もりもICTでスピードアップを図っている。

保険の見積もりはウェブサイトでも行える時代だが、こうして行える見積もりは大まかなもので、細かい条件などを詰めていくと、どうしても対人の見積もりが必要になる。対人の見積もりとなると、断りづらくなったり、必要ない保険内容までつけられてしまう、あるいは忙しくてなかなか販売員と会う時間が取れないなど、さまざまな障壁があり、そこで断念してしまう顧客も多い。

そこでライフネットでは、見積もり専用にAIを使ったbotを導入し、LINEおよびFacebook Messangerで見積もりが取れるようにした。botによる対話式のインターフェースで商品を紹介していくと共に、相手の入力内容から条件を類推して提案することもできる。botのAIでは処理できない場合は人間のオペレーターに回す、というやり方だ。これならオペレーターの数を減らせるし、顧客はいつでも好きな時に、詳しい見積もりを取ることができる。商品そのものがシンプルな構成になっていることも、AIが導入しやすかった一因と言えるだろう。

LINEトークによる見積もり受付の一例。まだ比較的シンプルなやりとりにしか対応できていないが、商品構成自体がシンプルで条件が複雑ではないため、目的の商品にたどり着きやすくなっている

また、こうしたAIやbotの導入は、これまで利用者の62%が40代以上だったという同社の顧客構成に変化をもたらす可能性がある。LINEやFacebookは若年層向きのインフラであり、これらを最大限に活用することで、若年層へのアプローチが可能になる。保険商品とは縁遠かった年齢層に対して保険を売り込むための緒になりうるわけだ。