novaシリーズではローエンドを担うことになるのが「nova lite」だ。ボディカラーはホワイト、ブラック、ゴールドの3色。ボディデザインは背面が丸みを帯びたnovaと異なり、背面は平坦なデザインとなっている。ディスプレイは5.2インチのIPS液晶を搭載しており、解像度はフルHDだ。OSは最新のAndroid OS 7.0 Nugatとなっている。

ディスプレイサイズはnovaより一回り大きいが、全体のサイズとしてはさほど大きくなった感じは受けない

SoCは中国・HiSiliconの「Kirin 655」だ。HiSiliconはもともとファーウェイのASIC開発部隊がスピンアウトした企業で、実質社内開発のSoCといってもいいだろう。novaのSnapdragon 655と同じくオクタコアだが、こちらは2.1GHz×4+1.7GHz×4のBig・Little式切り替えによる動作となる。全体として性能的にはSnapdragonに及ばないものの、メインメモリは3GB搭載しているため、アプリを複数立ち上げていても動作は快適そうだ。一方、フラッシュメモリは16GBしか搭載していない(microSDにより最大128GB拡張可能)ため、アプリを大量にインストールしたり、大量の写真やムービーを記録したい場合は気をつけたい。

メインカメラは1,200万画素、インカメラは800万画素という組み合わせはnovaと同じだが、こちらはソニー製撮像素子であるかどうかは説明されなかった。標準のカメラアプリでも、メインカメラでは4K撮影が、インカメラではメイクアップモードがないといった違いがある。これらの機能はアプリで追加可能ではあるが、ターゲットが若年層、特に女性の場合は今やメイクアップ機能などが必須と言われている。後からインストールする手間を厭われないかがやや心配かも。

こちらもかなりiPhoneを意識していることがわかりやすいカラーリング。ターゲットを考えると、もっとポップな色で攻めるのもアリ?

SIMはnano SIMスロットが2つ用意されているが、こちらはnovaと違って3G・4GのDSDSができないタイプとなる。また、CAやau向けのLTEバンドにも対応していない。バッテリーは3000mAhと大容量タイプで、平均的な利用であれば丸2日間の利用が可能だという。

単独販売が行われるnovaと異なり、nova liteはMVNOのみの販売となる。販売価格はMVNOによって異なるが、概ね20,000円前後となっている。この価格帯もなかなか競合が多い激戦区で、さらにもう少し下の価格帯からの突き上げも始まっている。バランスのいい1台なのだが、何かひとつ突出した武器がほしいところだ。

SIMフリー市場の覇者になれるか?

novaシリーズの2モデルは、いずれも価格帯を超えた高級感のある端末であり、性能面も含めて完成度は非常に高い。ファーウェイが国際的にも大きくシェアを伸ばしているというのも納得できる。特に上位モデルの「nova」は安心して買える1台であり、今年前半のSIMフリー端末ではかなりの人気を集めるだろう。

一方、あまりにiPhoneを意識しすぎていて(特にカラーリングやデザインなど)、ファーウェイならでは、novaシリーズならではという特徴が見えづらい。スペック的には売れる要素が満載なので心配はしていないが、競合するSIMフリー端末には、デザイン面や機能面でユニークなものが登場しつつある。もう少しファーウェイらしさというものを打ち出していく時期に来たのではないだろうか。