巷に個性的なイヤホンが増える中、上位モデルの開発から得た最先端のテクノロジーを受け継ぐ、1万円以下のイヤホンが出そろってきた。音楽リスニングの環境も、春にむけて装いを新たにしたいもの。そこで、いま注目すべき5ブランドのイヤホンをピックアップしてみた。
エレコム「EHP-GB1000M」
[発売時期] 2017年1月 [価格] 実勢5,500円前後 [カラー] ブラック、ホワイト [付属品] イヤーチップ、ケース、ケーブルキーパー |
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大型ドライバーによる力強くおおらかなサウンド
コスパの高いハイレゾ対応イヤホン&ヘッドホンを精力的に展開するエレコムから、低音再生を強化した「Grand Bassシリーズ」のハイレゾイヤホンが発売された。マイク付きの1ボタンリモコンを装備した「M」と、リモコンなしの「A」(EHP-GB1000A)から選べる。複合素材を使った3層構造の12mm口径ダイナミック型ドライバーが、力強くおおらかなサウンドを生むのが特徴。半密閉型のハウジングによるヌケのよさと透明感も魅力的だ。
シリーズ名の通りに低音の印象はしっかりと感じられるが、むやみに強調しないゆったりとした鳴りっぷりがジャズやロック、ダンス系の再生時に本領を発揮する。帯域の幅が広く、ひとつ一つ音色が濃い。ピアノやサックスが主旋律を奏でるインスト系のジャズにもピタリとはまった。高域再生も艶やかで、女性ボーカルのハイトーン、クラシックのバイオリンや金管楽器の音を伸び伸びと聴かせてくれる。声の質感も繊細に描き込んでいる。
オーディオテクニカ「LS50」
[発売時期] 2016年11月 [価格] 実勢7,000円前後 [カラー] ブラック、ネイビー、レッド、イエロー [付属品] イヤーチップ、ポーチ |
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鮮やかなライブ感とリアルな描写力
2016年秋にデビューした「LSシリーズ」の入門機。まるでライブ会場にいるかのような、リアルな臨場感を再現できるという。大きな特徴は、ひとつのユニット内に2基の8.8mm口径ダイナミック型ドライバーを直列に配置して同時に動かす「デュアル・ダイナミック」構造。振動板の歪みを和らげて、音の放射を均一に整える効果をもたらす。リスニング上の効果としては、解像感の高いクリアな中高域や低域の切れ味を実現。端子はオーディオテクニカ独自のA2DCであるが、リケーブルにも対応する。
分離感がとても鮮明で、広々とした空間を描けるイヤホン。ライブ音源は、空気感までが活き活きと蘇ってくるようだ。ボーカルは柔らかく開放的。声の特徴を自然に引き立たせる。ジャズバンドの演奏では細やかなニュアンスを正確に再現する。低音は量感よりもスピード感と鋭い切れ味で個性を伝えてくる。引き締まった筋肉質なビートが心地よい製品だ。
フィリップス「SHE9730」
[発売時期] 2017年1月 [価格] 実勢5,300円前後 [カラー] ブラック、ホワイト [付属品] イヤーチップ、ケース、ケーブルキーパー |
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人気のハイコスパイヤホンがハイレゾ対応に進化
ハイコスパイヤホンの定番として不動の人気を誇る「97シリーズ」が、ハイレゾ対応になった。近頃は数が少なくなってきた、右側のイヤホンケーブルを長く取って首の裏側に回せる「U型」のスタイルを守り続けていることも、根強い人気の秘密だろうか。きょう体はコンパクトで、耳にピタリとはまり音漏れを防いでくれる。装着時の安定感も高い。
多層構造の8.6mm口径「レイヤードモーションコントロール(LMC)ドライバー」が過剰な周波数を吸収して、97シリーズ伝統の写実的でバランスの取れたサウンドに整えられている。新モデルでは高域がより華やかに広がり、ハイレゾのうまみもしっかりと感じられる。弱音まで立体的に描く力や、シャープな輪郭のメリハリが、ボーカルサウンドと好相性。エネルギッシュなピアノトリオのグルーヴも、力強い線で描き出した。
フォステクス「TE04」
[発売時期] 2017年1月 [価格] 直販8,370円(税込) [カラー] ジェットブラック、ターコイズブルー、カーマインレッド、クリアホワイト [付属品] イヤーチップ、ポーチ、ケーブル2種 |
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バランスの良さ、質の高い低音
イヤホン「TEシリーズ」の入門機は、リケーブルにチャレンジした意欲作。FitEarとコラボしたカスタムIEM「FitEar Air」のテイストを受け継ぐデザインと快適な装着感を実現している。フォステクスの「ET-H1.2N6」など、対応するケーブルに換えて自分好みの音を探せるのもうれしい。同シリーズの華やかな高域を特徴とするメタルハウジングのイヤホン「TE05」も押さえておきたいベストセラーだ。
どっしりと響く低音が足場を固めて、分離感のよい中高域とともに立体的な空間を描き出す。8mm口径のダイナミック型ドライバー単体で力強く自然なサウンドを鳴らせるのが本機の魅力。厚みのある低域は、ロックやポップス、ダンスミュージックとの相性はもちろんだが、クラシックを聴いても生楽器の独特な柔らかみを引き出す。
RHA「S500」
[発売時期] 2015年10月 [価格] 直販5,184円(税込) [付属品] イヤーチップ、ポーチ |
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女性にもおすすめしたい超軽量イヤホン
デザイン性に定評のある、スコットランドの新鋭イヤホンブランド「RHA」の入門機。アルミニウム合金のハウジングは剛性がとても高く、なおかつイヤホン全体で10gという軽さも両立している。交換用イヤーチップが7種類も付いてくるので、装着感の調節も自由自在。ワンランク上のイヤホンを探している女性の音楽ファンにもおすすめしたい。iPhone対応リモコンを搭載する「S500i」も発売されている。
小柄なボディから想像できないほどにシャープで力強い中低域が特徴。細部の描写力がとても高く、声の繊細なニュアンスの変化を正確につかまえてくれる。お気に入りのボーカリストの声にゆっくり耳を傾けたい時にもぴったり。ロックのライブ録音を聴くと、エレキギターのハイトーンが残した余韻が、きめ細かなグラデーションを描きながら静寂に消えていく生々しさに息を呑む。そうした表現力の豊かさも、RHAブランドの強みだろう。