マックの定番商品が形成する巨大市場

日本マクドナルドのナショナルマーケティング部で上席部長を務める河野辺孝則氏によると、マックでは年間7億個以上の「サンドイッチ類」(バーガー系の商品)を販売している。そのうち7割はレギュラーメニューだ。これはつまり、マックの定番商品が年間約5億個の市場規模を有するということになる。河野辺氏によれば、レギュラーメニューを購入している顧客の多くは、毎回決まった商品を注文しているとのこと。同社の売上を支えるレギュラーメニューに、マックは総選挙で改めて焦点を当てようとしているように見える。

マックへ行くと毎回、当たり前のように決まったメニューを注文していた常連客にしてみれば、今回の総選挙では、公約につられて普段は買わない商品に改めて目を向けるきっかけとなるかもしれない。例えば「マックではビッグマックしか食べない」と決めている常連客に、別の商品も試してみようと考えさせることができれば、今回の総選挙は、顧客の固定化した購買行動に刺激を与えるキャンペーンとしても効果を発揮することになる。

総選挙の開催セレモニーに駆けつけた高田延彦さん(写真中央左)はAブロック、中川翔子さん(同右)はBブロックの応援団長を務める。特設サイト内の「総選挙チャンネル」では、政井マヤさん(左端)がキャスターとして選挙の動向をリポートする

もちろん総選挙は、マックが目指す「顧客に楽しさを届けたい」という考え方に沿ったキャンペーンだ。そこにビジネスにつながる戦略があるとすれば、同社の売上を支える定番商品を改めて世間にアピールし、この巨大市場を活性化することだろう。

2016年には次々に期間限定の新商品を投入し、攻めの姿勢を見せたマック。同社に話を聞くと、新商品ラッシュで時には奇抜な商品を世に問えるのも、レギュラーメニューの高い商品力が背景にあってこそなのだという。年の初めに、定番商品の人気の地固めをするような施策を打ってきたマックは、2017年も多くの新商品を発売するつもりなのではないだろうか。