鈴木直道 夕張市長

一方、夕張市はどうか。鈴木直道 夕張市長は、「2006年に財政破綻が明るみに出たあと、2007年に財政再建団体に移行しました」と、当時の経緯を語る。財政再建団体とは、国の管理下のもと、財政再建に努めることを指定された団体のことだ。過去にこの制度を適用された自治体はあるが、現在は夕張市のみである。

2007年から財政再建団体に指定されてからというもの、夕張市は緊縮財政に取り組んできた。これにより、財政再建を着実に推進していったが、大きな問題も生じた。それは、人口の減少である。緊縮財政を続けていれば、市政サービスに手がまわらなくなる。自然、市民はそれを嫌忌し、ほかの地へと移ってしまう。

鈴木市長によれば、「破綻前の数字ですが、全盛期は約12万人の市民がおりましたが、現在では8,700人台まで人口が減少してしまっています」という。

このまま緊縮財政を続けていれば、夕張市は消滅しかねない。事実、夕張市の財政再建を検討する第三者委員会からも、その危険を指摘された。

財政再建だけではなく市の再生を!

そこで、鈴木市長は大きく舵を切ることにした。それは「財政再建と地域再生の両立」。この方針を2016年3月に、夕張市の財政再建を管轄する高市総務大臣に報告をし、了承を得た。

現在、夕張市の自然収入(税収など)は約8億円。これでは、財政再建と地域再生を両立するには心許ない。そこで、目をつけたのが、ふるさと納税による全国からの寄付だ。

「財政破綻時、ふるさと納税は実施されていませんでしたが、現在は幸いなことにふるさと納税という寄付で、全国の方々にご支援いただいております」と、鈴木市長は感謝の念を深めている。

直近では、全国の支援者から2年連続で約2億円が寄付され、さらに2016年から開始された企業版ふるさと納税では、ニトリホールディングスが今後4年間で5億円を夕張市に寄付すると表明した。収入約8億の自治体にとって、全国支援者からの2億、企業からの5億円は何よりもありがたいだろう。

ただ、地域再生を推進するには、さらなる寄付が必要と考えたのだろうか。鈴木市長は1,300億円以上ものふるさと納税を扱う、ふるさとチョイスを運営する、トラストバンクに着目した。