ジャストシステムは2016年12月1日、「一太郎2017」「ATOK 2017」を発表した。2017年に35周年を迎えるATOKシリーズは、ディープラーニング(深層学習)を生かした新エンジンを搭載。利用者に最適な文書作成を提案する機能を搭載した一太郎2017を、2017年2月3日から発売する。
1人1人の使用スタイルに向き合った「一太郎2017」
例年どおりジャストシステムは、今年も一太郎およびATOKシリーズの新製品を発表した。ジャストシステム CPS事業部 事業部長 田食雅行氏の説明によれば、1982年のKTISから始まったATOKシリーズは、来年の発売日で35周年を迎える。
詳しくは後述するが、今回はディープラーニングを採用した新エンジン「ATOKディープコアエンジン」を搭載。一太郎はプライベートからビジネスシーンまで多様な場面で活用されているため、最適な文書作成環境を提案する「一太郎オーダーメイド」を搭載した。まずは一太郎2017の特徴から紹介しよう。
一太郎シリーズを担当するジャストシステム CPS事業部 開発部 吉住康弘氏は、同シリーズの利用者に対して作業環境の調査を行った結果、「1人1人の使用スタイルに応じた一太郎を用意できないか」(吉住氏)という結論にいたったという。その結果、一太郎2017は、レイアウトを重視するチラシや、小説家などは創作活動に集中できるシンプルなUIを選択する「一太郎オーダーメイド」機能にたどり着いた。
「かんたんオーダー」と呼ばれるメニューからは、多様な文書作成に対応する「使いこなし」、軽快な動作を重視する「シンプル」、さらに執筆に集中する「もの書き」、そして用途や利用者の身体特性など22項目にもおよぶ質問に回答することで、メニューやキー操作、画面デザインなどを自動設定する「こだわりオーダー」を用意している。「利用者の一太郎は世界で1つだけ、手に馴染むツールとして体感できる」(吉住氏)。
さらに、作成した文書の意図を読み手に正しく伝えるため、日時や場所といった重要箇所を目立つレイアウトにする「きまるフレーム」機能を搭載した。「デザインに不慣れな利用者が書類を作成すると、結果的にメリハリがなくなってしまうが、この機能なら必要事項を用途に合わせて書き換えるだけ」(吉住氏)。日時や場所、プロフィール、アクセス先といった8つのカテゴリーと200点のフレームを用意する。
一太郎2016でも実装していた、文書校正機能も強化された。例えば、「エリアメール」ではなく「緊急速報メール」といった新名称、新用語への対応や、くだけた表現のチェック、重ね言葉の指摘機能を備えている。くだけた表現の一例を挙げると、「並んでる」と「並んでいる」といった"い抜き・ら抜き言葉"、「○○じゃ」と「○○では」、「やっぱり」と「やはり」など、誤って入力した口語をチェックする。さらに文章を作成する利用者向けとして、約物(句読点・疑問符・括弧など)の個数や作法をチェックする機能も搭載した。例えば、感嘆符や疑問符の後に一字空白を挿入し、カギ括弧で閉じた文末の句点が自動的に削られる。