レノボ・ジャパンは11月9日、都内で記者会見を開き、新製品および事業戦略について説明を行った。SDI(Software-Defined Infrastructure:ソフトウェア定義型インフラストラクチャー)関連製品のラインアップを拡充し、新たにSoftware-Defined Storage:ソフトウェア定義型ストレージ)のアプライアンス製品として、クラウディアンとネクセンタ・システムズ・ジャパンと協業し、「Lenovo Storage DX8200C」「Lenovo Storage DX8200N」を発売した。

「Lenovo Storage DX8200C」(上)と「Lenovo Storage DX8200N」

レノボ・ジャパン データセンターソリューション事業本部 製品統括本部長の橘一徳氏

また、1月に発表したニュータニックスのハイパー・コンバージド・インフラストラクチャー(HCI)アプライアンス製品であるLenovo Converged HXシリーズに、新たに中堅・中小企業向け「Converged HX1000/2000シリーズ」および2U(高さ約8cm)の筐体にサーバを4ノード搭載できる高密度型HCI製品などを追加。これら新製品の投入により、同社はSDI製品のポートフォリオを拡充し、急速に拡大するSDI市場での事業強化を図るほか、x86サーバをプラットフォームに採用したSDI製品のラインアップ拡充により、サーバベースコンピューティングのポートフォリオも拡充し、製品コストを低減することで、価格性能比の高いソリューションを顧客に提供していくという。

冒頭、レノボ・ジャパン データセンターソリューション事業本部 製品統括本部長の橘一徳氏は「今後、われわれのエンタープライズサーバ・ストレージのビジネスにおける開発の注力ポイントは、サーバベースコンピューティングの事業強化としてソフトウェアソリューションを組み合わせたアプライアンスビジネスに対する投資を拡大する。サーバベースコンピューティングに注力することで最新技術の採用や価格性能比の向上などを図ることを可能とし、顧客の投資対効果、投資保護の最大化を実現できる」と述べた。

購入からサポートまで一元的にサポートする「Lenovo Storage DXシリーズ」

Lenovo Storage DX8200Cはクラウディアンが開発したSDS製品「Cloudian HyperStore」をレノボのサーバに搭載したスケールアウト型オブジェクトストレージ。メディア・イメージ、ビデオ、バックアップ、Webコンテンツ、ファイル共有などの非構造化データの増大に対応できる。Amazon S3に完全準拠したAPIが導入され、最小3台からスタートし、数PB超級までスケールアウトすることが可能。また、複数のデータセンターにデータを分散配備し、Amazon S3などのクラウドサービスへデータ自動階層化にも対応している。価格は1099万円(税別)~。

「Lenovo Storage DX8200C」の特徴

「Lenovo Storage DX8200C」の構成例

サイズは2Uラック型、プロセッサはインテル Xeon プロセッサ E5-2630 v4、ノードあたりキャッシュは20MB、メモリ容量は64GB、ストレージベイは3.5インチHDD×12と背面3.5インチ×2、および2.5インチHDD/SSD×2、内部ストレージの最大容量は112TB、インタフェースは1GbE×2 + 10Gb×2。

また、Lenovo Storage DX8200Nはネクセンタが開発した「NexentaStor」をレノボのサーバに搭載したSANとNASを統合管理できるユニファイド(ファイルとブロックに対応する)ストレージ。既存システムに比べ、拡張性とシンプルな管理機能を確保でき、急激なデータ量の増加にも対応することが可能だという。企業内のあらゆるブロックとファイルのデータ統合管理、X86サーバとJBODの組み合せで数PBまでスケールアップすることに加え、CIFS/NFS、FC/iSCSIまでマルチプロトコルに対応。価格は763万円(税別)~。

「Lenovo Storage DX8200N」の特徴

「Lenovo Storage DX8200N」の構成例

サイズは2Uラック型、プロセッサはインテル Xeon プロセッサー E5-2643 v4、ノードあたりキャッシュは20MB、メモリ容量は256GB(16GB×16個)、ストレージベイは3.5インチドライブ×12およびHDD/SSDの2.5インチドライブ×2、インタフェースは1GbE×2 + 10Gb×2、連結ノードペアあたりのJBODはLenovo Storage D1212 または Lenovo Storage D1224が最大8(最大物理容量960TB)となる。

データセンターソリューション事業本部 製品統括本部 製品本部長の工藤磨氏

新製品の説明を行ったレノボ・ジャパン データセンターソリューション事業本部 製品統括本部 製品本部長の工藤磨氏は「ハードウェアとソフトウェアをワンストップで調達し、保守窓口を一本化することで購入からサポートまで支援する。また、検証済みのSDS構成をプリロードで出荷するためSDS検証ラボを開設しており、購入前後の工数を削減し、迅速な導入を実現していく。さらに、サーバベースのストレージでありながら、ベースとなるサーバのハードウェアの信頼性が高いため安心・安全なSDS環境を提供できる」と優位性を訴えた。

今後、レノボでは製品の開発に加え、検証センターにおけるデモンストレーション環境の整備や販売パートナー向けのSDS教育プログラムを行うなど、SDS市場におけるソリューションを販売パートナーとともに拡大し、提供していく考えだ。

今後の販売戦略について橘氏は「今回、4月に発表した国内のアライアンス戦略であるLenovo Togetherを進展させた『Lenovo Together 3.0』を発表し、これまでISV、もしくは販売パートナーと個別にアライアンスを組んでいたが、3.0ではLenovoとISV、販売パートナーの3社によるアライアンスを開始する。Lenovo Storage DX8200Cはクラウディアン、NTTデータ先端技術、Lenovoの3社、Lenovo Storage DX8200Nではネクセンタとアセンテック、Lenovoの3社がそれぞれ協業し、ビジネスのランクアップをねらう。また、営業力の強化として新ソリューションの営業モデルを構築するため、従来は構成や見積もり作成支援、インサイト営業、セールスエンジニアの部隊はそれぞれ別の組織だったが、データセンター・ソリューション事業本部の営業部隊に統合したほか、テレマーケティング部隊のオペレーションも組み込み、営業とマーケティングが一体となり、案件の発掘・開拓からクロージングまで行う新しいセールスモデルをスタートさせている」と言及した。

SDIの販売・マーケティング戦略

HCI製品のHXシリーズでは2U4ノードモデルなどを拡充

一方、HCI製品であるLenovo Converged HXシリーズにおいても複数の製品をラインアップに追加。ストレージ機能とコンピュート機能を備えるHX3000シリーズでは標準モデルの「HX3310」に加え、VDI環境に最適なGPU標準搭載モデル「HX3510-G」、SSDをストレージに採用したオールフラッシュモデル「HX3310-F」といった特徴的な製品をそろえる。

HCI製品のラインアップ(赤字が新製品)

また、HCI市場で需要の大きい筐体デザインの2U4ノードモデルとして、標準モデルの「HX3710」、オールフラッシュストレージ搭載の「HX3710-F」、Nutanix Xpressソフトウエアをアプライアンス化した中堅・中小企業向けの「HX2710-E」の3製品を投入。さらに、大企業の支店、支社などリモートオフィス、ブランチ・オフィスに適し、最小のスペースで設置が可能な1Uサーバーベースの製品「HX1310」もラインアップし、用途、設置環境ごとに、幅広い顧客ニーズに対応することが可能になったという。

SDIソリューションと代表的なワークロード