アドビのツールを使うクリエイターやマーケッターのUX(ユーザーエクスペリエンス)を改善する「先生(Sensei)」が登場する。

アドビ システムズは2日(日本時間)、米国・サンディエゴで開催されているカンファレンス「Adobe MAX 2016」において、同社が持つクリエイティブ(Adobe Creative Cloud)、ドキュメント(Adobe Marketing Cloud)、マーケティング(Adobe Document Cloud)分野のユーザー体験にまつわる問題解決に特化したソリューション「Adobe Sensei」を発表した。

「Adobe Sensei」は、AI/マシンラーニングを統合したフレームワークと同社のクラウドサービスに組み込まれているインテリジェントサービス群を包括したソリューション。Adobe Stockで販売されているような高解像度画像から顧客クリック数まで、同社が持つ膨大なコンテンツとデータアセットを活用し、デジタルエクスペリエンスの設計、提供および管理機能の提供を実現するという。

同ソリューションに包含されるインテリジェントサービスでは、マシンラーニング、人工知能(AI)、およびディープラーニング機能を活用し、膨大な数の画像とのマッチング、文書の意味とセンチメントの理解、重要なオーディエンスセグメントを対象とした精度の高いターゲティングなど、エクスペリエンスの提供における複雑な課題に対処する。このソリューションは、2016年3月のAdobe Summitで発表したAdobe Marketing Cloudのマシンラーニング機能をさらに発展させたものだ。

「Adobe Sensei」の一部はすでに実装済み

「Adobe Sensei」と名付けられたこのソリューション、それ自体は今回はじめて発表されたものだが、同ソリューションに含まれるインテリジェンスサービスのうち数十種類は、すでに現行の製品において使用されている。たとえば、Adobe Stockのディープラーニングを用いた「画像の自動タグ付け」、モバイルアプリ「Adobe Photoshop Fix」で真顔の写真を笑顔に加工する顔認識関連の機能がそれにあたる。

このほか、マーケティング分野ではオーディエンスのセグメント化や、マーケティング関連のさまざまなタッチポイントが消費者の判断に与える影響を把握し、マーケティング投資を最適化するアトリビューションが、同ソリューションのインテリジェンスサービスによってもたらされている。

なお、同社は「Adobe Sensei」への投資を拡大し、同ソリューションをパートナー、独立系ソフトウェアベンダー(ISV)およびデベロッパー向けに提供し、クラウド製品向けカスタムソリューションの構築を推進していく見込みだ。

この発表に際して、アドビのCEO(最高経営責任者)であるシャンタヌ ナラヤン(Shantanu Narayen)氏は、「マシンラーニングやAI機能、および膨大なコンテンツとデータアセットを活用し、Adobe Senseiはアドビ最大の戦略的投資のひとつになると考えています。パートナー、ISV、デベロッパーにAdobe Senseiを提供することで、さらなるエコシステムを拡大し、イノベーションを推進していけることを嬉しく思います」とコメントしている。