続いて本日の本命であるMacの話題に移る。クックCEOはMacがAppleにとって特別な存在であり、あらゆる分野で世界を進歩させるのに使われてきたと指摘。今年登場したmacOS SierraはiCloud DriveやSiriなどの強力な機能を搭載していることを紹介した。

その上で、実は今週はMacの歴史の中で非常に重要な年であると述べ、実はApple初のノート型Mac「PowerBook」シリーズの誕生から25周年であることを明らかにした。ちなみに初代PowerBookであるPowerBook 100/140/170の登場は1991年の10月21日だった(クックCEOは10月25日と発言したが、1991年のCOMDEX Fallの基調講演での発表なので21日のはずだ)。

初代PowerBookのPowerBook 170。今となっては笑い話のような分厚さと重さだが、当時としては画期的・革命的なデザインだった

一瞬、20周年記念Macのようなアニバーサリーモデルの登場を期待したがそんなことはなく、PowerBookがキーボードの手前にパームレストがあり、中央にポインティングデバイスがある、最初にトラックパッドやWi-Fiの内蔵、フラッシュストレージ採用によるゼロスピンドル構成、アルミ製ユニボディ、一日駆動するバッテリーライフ、ノート用Retinaディスプレイといった現在のノート型PCの原型であることを紹介し、そこに付け加える新たな1ページとして新MacBook Proが発表された。

次々と歴代PowerBookが登場する…と思いきや、PowerBook 500シリーズの次にいきなりG3へ。5000シリーズや2400、3400などは黒歴史として葬られてしまったらしい……

新MacBook Proは13インチと15インチの2モデル3機種。ボディ色はシルバーとスペースグレイの2色が用意され、改良され明るさ、コントラスト、色域が拡大したRetina Displayを搭載し、従来比10数%の薄型化と、最大25%もの体積の削減に成功している。重さは13インチで3ポンド=約1.37kg)、15インチで4ポンド(=約1.83kg)と、非常に軽量だ。外部出力はすべてThunderbolt 3ポートに統一されており、13インチで2ポート、15インチでは4ポート搭載する。Thunderbolt 3ポートは物理的にUSB Type-C互換であり、機能的にもUSB 3.1、Display Portを兼任する。MacBookと同様に、電源もここから入力する。

15インチモデルはRadeon Pro 400シリーズを搭載。Thunderbolt 3により5Kディスプレイをケーブル1本で接続できる。4ポートあるため、5Kディスプレイ2+RAID BOXといったリッチな環境も組める

最大の新機能は、ファンクションキー(Fキー)の列の代わりに追加されたOLEDディスプレイ「Touch Bar」だ。このTouch Barはマルチタッチに対応しており、表示内容はアプリや状況によって変更する。また右端にはTouch IDを内蔵しており、ログイン時やApple Payの認証にも利用できる。

Touch Barとはまたストレートな名前に。そのうちForce Touch Barになるのだろうか?

状況によって機能が変わるFキーというのは、そもそも以前のFキーもメディアキーと併用(fnキーで切り替わる)していたし、近年ではLenovoのThinkpad X1 Carbon(2014年モデル)の「Adaptiveキーボード」を想起させる。またキーボードに液晶パネルをつけるというアイディアも、例えばロジクールの「G15ゲーミングキーボード」や、露Art.Lebedev Studioの「Optimus Maximus」(全キートップがOLEDディスプレイになっておりカスタマイズ可能)などを思い出させる。Windows VistaのSideshowがちゃんと普及して機能していたらこうなったかも、と思わせるものもある。

つまり、アイデアとしては別に目新しいわけではないのだが、きちんと製品としてまとめてくると特別に見えるのがAppleらしいところだ。デモから察するに細かい操作もきちんと判別できる性能があるようだし、カスタマイズする際にメインディスプレイからTouch Barにドラッグ&ドロップすることで機能を追加できる点などはUIも含めてうまく作り込んである。タッチ操作ネイティブな若い世代のユーザーはすぐに使いこなしてしまうだろう。

カスタマイズの容易さや直感的なインターフェースは実にApple的。ここに組み込む専用ソフトの開発なども可能になれば、さらに人気を集めそうだ