デノンは10月22日、東京・中野で開催中の秋のヘッドホン祭 2016で、新製品発表会を開催。旗艦ヘッドホン「AH-D7200」を披露した。開発中のヘッドホンアンプ「DA-310USB」も参考出品し、フルデジタルアンプ「DDFA」の最新世代を世界で初めて採用したことを明らかにした。
AH-D7200は、2006年発売の「AH-D7000」を発展させたオーバーヘッド・密閉型ヘッドホンだ。ハイレゾやバランス再生など最新トレンドに対応するべく、デノンのヘッドホン関連技術とノウハウを投入。音の方向性を大きく変更せずキープしつつも、「ネジ1本たりとて同じ部品は使用していない」(ディーアンドエムホールディングス マーケティング担当 宮原利温氏)と、新設計をアピールした。
ユニット部には、50mm径のフリーエッジ・ナノファイバー・ドライバーを搭載。一般的なPET素材の振動板と比較すると、振動板全体にわたる均一なピストンモーションを得られるため、歪みが少なく豊かな低域の量感を実現できるという。「AH-D7200で初めてナノファイバー・セルロースを採用。フリーエッジ構造のノウハウを積んだ」(宮原氏)と、AH-D7000の正統進化モデルであることをアピールした。
ハウジング材には、天然のアメリカン・ウォールナットを採用。採用の理由については、「AH-D7000に使用したマホガニー材と比較して鳴きが少ない。磨くと木目が出るため、デザイン上のメリットもある」(宮原氏)とのこと。リケーブルにも対応し、付属ケーブルには左右両出しの7N OFCケーブルと、3.5mmアルミ削り出しモノラルミニプラグを同梱した。
イヤーパッドは、国産人工皮革と低反発ウレタンを組み合わせたもの。加水分解しないため、長く使えるという。ヘッドバンドには厳選されたシープスキン、内側には耐久性に優れた人工皮革を使用し、質感と装着性・耐久性の両立を図った。
試聴した印象だが、全域にわたりクリアかつ歪みが少ない。特定の音域が際立つことはないが、フラットというよりはナチュラルで歪みが少ないと表現するほうが適切だ。この点は、振動板全体を均一に動かせるフリーエッジ・ドライバーの特性なのだろう。ハウジング材にウォールナットを採用した効果か、心地よい響きを楽しませてくれる。「現時点の音の仕上がり度合いは80%」(宮原氏)とのことで、今後のサウンドチューニングによる上積みも期待できそうだ。AH-D7200の推定市場価格は100,000円前後で、2017年1月中旬の発売を予定している。