P&Gの評価制度

P&Gの評価制度は、個人が成果に責任をもつ「自律」が基本だ。昇進の機会は「女性だから」あるのではなく、公平に個人の達成度で測られ、部下を育成し引き上げる責任が上司にあるという文化だ。3人の子どもの出産、育休を経て仕事を継続している堀小さんにもそれはいえる。

2年前、難しいプロジェクトを任されたが、見事達成できたことや、これまでの業績が評価され、係長級に昇進した。係長級への昇進は、同期と比較すると最大10年遅れてのことだった。

「とても嬉しかったです。育児休業はマイナス評価にはならないものの、その分ブランクも長かったですし、このまま上がれないだろうなあとも考えていました。認めてもらえて嬉しかった」。成果を正当に評価する。それもP&Gがダイバーシティ&インクルージョンを実現できている大きな理由だ。

さまざまな課題を1つずつ乗り越えてきた堀小さん。働き方については、こんな信条をもっているという。「平日起きている時間の大半は仕事に費やしますよね、だから気持ちは家族優先と常に意識しています」。時間は仕事、思いは家族と自分に言い聞かせている。

子育てしながら仕事で実績を上げるために、ベビーシッター補助や、子どもの看護休暇、介護育児補助制度など会社の制度は積極的に利用している。「使えるサポートは積極的に活用し、頼る。周囲からもサポートを得ようと思うなら、積極的に日々コミュニケーションを」。と働く女性にエールを送った。

【P&Gの成功要因】

1:経営陣や管理職が制度を利用、ロールモデルになる
2:上司と女性社員が働き方について定期的に面談。制度利用についても話す
3:管理職向けインクルージョン・スキルの研修
段階的に開催し理解度を同じレベルに引き上げる

杉浦里多(すぎうらりた)
人材育成の研修などを行う株式会社DELICE(デリィス)代表取締役社長。P&Gジャパンでのマーケティング・広報渉外部での経験をベースに、マーケティングや経営戦略の教鞭をとる傍ら、最近は特に女性のリーダーシップについての研修、講演に力をいれる。著書に「1年で成果を出すP&G式10の習慣」、「がんばりが評価される女性の仕事術」などがある。杉浦里多ブログ会社HP