「10月が発売のターゲット」と長らく噂されてきた新型「MacBook Pro」だが、ついに正式な発表日が確定しつつあるようだ。Appleは同社会計年度で2016年度第4四半期(7~9月期)の決算報告を10月27日に行う予定でいたが、10月3日になり「スケジュールがバッティングした」ことを理由に25日へと急遽前倒しにすることを発表している。この27日がいわゆる「新型MacBook Pro発表のスペシャルイベント」の開催日であり、製品の販売もほぼ間を置かずしてスタートするという説が有力になってきた。

Appleは10月27日に予定していた同社会計年度で2016年度第4四半期(7~9月期)の決算報告を「スケジュールのバッティング」を理由に急遽25日へと前倒しした

同件は9 to 5 MacでBen Lovejoy氏が報じている。同氏がApple関係のレポートでは著名なPhilip Elmer-DeWitt氏との考察の中で、決算報告日程をずらした理由にあたる「27日に存在するAppleスケジュール」が冒頭でも紹介した「新型MacBook Pro発表のスペシャルイベント」であるならば極めて納得できるというものだ。ただLovejoy氏は決算報告が先で、スペシャルイベントが後になる理由は不明としている。というのは、9月16日に世界での販売がスタートしたiPhone 7について、すでに関連サプライヤに発注制限がかかっているという情報が出ているなど、昨年2015年より販売に急ブレーキがかかっているという噂が広がっている。Mac製品に至っては新機種登場の噂により買い控え行動に拍車がかかっていると判断され、おそらくFY2016Q4決算は厳しい情勢になることが予想されている。そのため、Lovejoy氏は「明るい話題を先に出したほうが決算の厳しい数字をある程度フォローできるのではないか」という考えを基にこうした意見を出しているのだと思われる。

さて、問題はスペシャルイベントの内容と実際の発売日だ。以前のBloombergの報道にもあるように、「MacBook Pro」「MacBook Air」「iMac」「5Kモニター」などがその発表候補に挙がっている。また、現行世代から1つ前のモデルにあたる「第3世代Apple TV」がオンラインストアから削除されたことを受け、Apple TVのリフレッシュも行われるという声も出ている。ただ現在聞いている情報から推察するに、このスペシャルイベントではMac製品にあくまでフォーカスし、発表内容もほぼ新型MacBook Proがその中心となり、場合によってはMacBook Airなどはサイレントアップデートに留まる可能性がある。新型MacBook Proについては以前の噂通り、12インチのMacBookに近い筐体デザインを踏襲してさらに薄型軽量となり、OLED方式のタッチパネルで表示内容が変化するファンクションバーの採用やTouch IDセンサーの搭載が見込まれる。またIntelの第7世代Coreプロセッサ(Kaby Lake)は現状でまだノートPC向けのハイエンドモデルが用意されておらず、第6世代のSkylakeが採用される可能性が指摘されている。

またスペシャルイベントのタイミングで発表される可能性がある情報として「iOS 10.1のリリース」「新キャンパスに関する続報」あたりが考えられる。「iOS 10.1」は日本のユーザーにとっては待ち遠しい「日本でApple Payを利用可能にするアップデート」であり、この配信タイミングでiPhone 7のFeliCaチップを使った各種Apple Payサービスが利用可能になるとみられる。「10月後半(Late October)」と予告されていた日本国内でのApple Payローンチだが、日付でいえば28日のタイミングから利用可能になると予想している。そして、イベントで発表された新型MacBook Proも同週末、つまり28日以降に順次店頭での販売が行われるとみている。

新キャンパスについては、現時点ではあくまで最新のアップデートが紹介されるに留まるとみられる。対外的に多くの関係者を招待するiPhoneの場合とは異なり、会場はおそらくApple現行キャンパスの「Town Hall (4 Infinite Loop)」が選ばれるとみている。そして、このスペシャルイベントが現行キャンパスで開催される報道関係者を集めた最後の対外的イベントになると考えている。新キャンパスの話がなぜ出てくるかといえば、「次からは新キャンパスでイベントを行いますよ」という予告編的な意味合いが強い。折しも、10月5日は故Steve Jobs氏の命日で、それから5年後に新キャンパスが完成して次のステージへ……というのが一連の演出となるかもしれない。

イベントの招待状発送は、通常であれば10月17日の週前半、ただ昨今若干前倒し傾向があることを考えれば、最速で10月14日前後に発送が開始されるかもしれない。前述のように、イベント会場がTown Hallになると予想されることから、日本国内から現地取材に向かうプレスの数は今年3月のiPhone SEとiPad Pro発表イベントと比較しても非常に少ないとみている。実際、スペシャルイベントからほぼ間を置かずして製品が発売される可能性が高いため、Webサイトで情報をチェックするより先に実際にApple Storeに出向いたほうが実機を触れる確率が高い。筆者を含め、長らくMacBook Proの新モデルを入手できずにやきもきしていた層は、ぜひ楽しみにしていてほしいところだ。