ロボホンの可能性

いろいろ述べてきたが、やはりロボホンの大きな特徴はそのUIを基本的に音声入力にしたことが大きいだろう。これがロボホンを他のデバイスと明確に一線を画するものとしている。

何しろ、いままでスマホにしてもタブレットにしてもパソコンにしても、音声入力で不自由なく実用的に操作できるようなデバイスというのは存在したことがないのだ。言うまでもなく、パソコンはキーボード入力ができなければ使えないし、スマホにしても同様だ。これがロボホンであれば、メールアドレスさえ登録していれば、デジタル機器に疎い人でもスムーズにメールを使ったりすることができる。

これは非常に画期的なことであり、ロボホンは音声入力の標準化という今までにないUIを得たことによって、今後、今までにない市場を開拓していける可能性がある。

パソコンでキーボードをたたいて作業しながらでも、ロボホンで音声でメールの送信作業をしたり、受信したメールを音声で聞くことができる。物理入力デバイスとパラレルに使うことができるのだ。ある意味、パーソナルアシスタントのようで面白い。

ロボホンはスマートフォンのようなデバイスと競合する製品ではなく、共存できるもので、さらに新しい市場を開拓していける製品なのだ。

なぜ、音声入力にこだわったのか?

それにしても、なぜシャープはこんなに音声入力にこだわったのか? そして、その先に何か考えていることはあるのか? これもシャープ関係者に聞いてみた。

「音声"は"表示"のようにユーザーの時間を拘束しません。歩いているときや、何か作業をしているときにも音声であれば耳に入ってきます。また表示だけでは愛着が湧きませんが、音声の会話でやり取りすることで愛着が湧き、それによってその対象(ロボホンやお話しする家電)に自分の情報を話すようになると考えます。今後、音声でのサービス、特にユーザープロフィール・嗜好に沿ったサービスが展開されるようになると考えており、"音声"には非常にこだわっています。具体的なサービスはまだ検討中であり、現時点ではあまりお話できませんが、例えばユーザーの好きなものを登録しておくと、近くのレストランを検索した際に、好きなものとリンクしたお店を紹介してくれる等、嗜好理解を活用したサービスはいろいろ考えられるかと思います。好きな芸能人をロボホンに教えておくと、その芸能人が出演する番組を放送前に教えてくれる、等もユーザー理解の具体例になるかと思います」

シャープは音声入力の先に、さらにユーザーカスタマイズした情報サービスの提供なども考えているようだ。ロボホンは、まさにパーソナルアシスタントと言える存在になるのかもしれない。