「エモパー」スマホや「Siri」との違い
シャープはスマホメーカーでもあるが、最近のハイエンドモデルは「エモパー」と呼ばれる機能を搭載している。これはエモーショナル・パートナーの略で、人間の感情的パートナーのようになるという意味で、話しかけてきたり、画面に情報を表示したりする。スマホが友達になるというようなものだ。
ただ、このエモパーはコミュニケーションのためだけの機能であり、その機能はスマートフォンの一部に過ぎない。そして、そのコミュニケーション機能もロボホンを上回ることはない。その機能はメモを覚えてくれるとか、特定の話題を状況に応じて話をするというようなものだ。
ロボホンとエモパー、両者ともにシャープの人工知能プロジェクト「ココロプロジェクト」から生まれているが、その目的、機能、スタンスは大きく異なっているのだ。
そして、iPhoneの「Siri」とも大きく異なっている。Siriは音声入力による自然言語処理でコミュニケーションができるという面ではロボホンに近いが、SiriはiPhoneの機能の一部に過ぎず、自立的に写真を撮影したり、人を認識して伝言を渡せるようなロボホンとは根本的に異なる。
ロボットとスマートフォンの違い
これらスマートフォンのアプリとロボホンのもう1つの大きな違いはその形状にある。ロボホンはロボットであり、「人間の形」をしているということ。人間の形状をしているが故に人々がそれを1つの独立した知的存在として認識しやすい。スマホが同じ人工知能を搭載したととしても、人間の形状をしたロボットのほうが人は話しかけやすいし、親しみを持ちやすいというわけだ。
そして、ロボホンはその「動作」や「声」の1つ1つにまで細かい配慮があり、1つのキャラクターを表現している。人間と同じくキャラクターを持った存在なのだ。
シャープではロボホンのしゃべりや動作において一定のガイドラインを作り、それに基づいて動作やしゃべりを決めているという。この細かいキャラクター作りにまで配慮しているあたりが他のロボット製品とロボホンの印象が異なる一因なのかもしれない。「カワイイ」キャラクター作りがロボホンが女性に受ける一因となっているのだろう。
音声入力はどうあるべきか
とはいえ、その音声入力インターフェースは簡単に現在の形になったわけではないようだ。シャープの関係者は次のように話す。
「日本人がロボットに話しかけるのはマインド的に難しいのでは? と考え、当初はエモパーのように『ロボホンから話しかける』UX(ユーザエクスペリエンス)を中心に企画・開発していました。しかしながら、実際にプロトタイプを作ってみると、形のあるものに意図しない内容を頻繁に話しかけられるのは思いのほか、うっとおしく感じ、心地の良いUXにならないと判断しました。そこで、心理的障害を下げるための対策として、『ボクに質問』のように、ロボホンから『○○も聞いてみて!』と誘導するようなUIやそわそわモーションをして『どうしたの?』と話しかけてもらいやすくしたり、というさりげない誘導を入れています」
つまり、人間のほうからロボホンに話しかけたいキモチにしようとしているわけだ。