三菱電機は8月23日、家庭用ルームエアコン「霧ヶ峰」の2017年度・新製品として、上位モデルの「FZシリーズ」と中位モデル「Zシリーズ」を発表した。定格冷房能力(kW)の違いなどで全18機種をそろえ、価格はオープン、推定市場価格(税別)は218,000円前後~448,000円前後。

最上位機種の三菱ルームエアコン「霧ヶ峰 FZシリーズ」

三菱ルームエアコン「霧ヶ峰 Zシリーズ」(ウェーブホワイト)

新しい霧ヶ峰は、室内にいる大人と子どもを見分けて「温冷感」を判断できる点が特徴。従来モデルでも搭載されている「ムーブアイ極」と呼ばれる赤外線センサーにより、手先や足先など人体の細部にわたって温度変化を検知し、最適な運転制御を行う。加えて、新開発の独自アルゴリズムで解析するマイコンを組み合わせ、エアコンとの距離、身長や姿勢などをセンシング。身長が約75~130cmの子どもの体感温度を見極める仕組みだ。

新モデルは、ライフステージにおけるエアコンの価値と役割というアプローチ。大人、子ども、高齢者、家族構成、暑がり・寒がり、といった消費者とシーンを想定し、部屋の中にいる各人に応じた制御を行う

上位機種にあたるFZシリーズは、「パーソナルツインフロー」を装備。左右のファンが独立して個別に駆動し、検知した体感温度にもとづき、子ども側と大人側で異なる制御を行える。その際、同室内にいる大人の足元と子どもの足元で最大約5℃、体感で3℃の温度差を付けることが可能だ。大人が快適に感じる温度、子どもが快適に感じる温度を、それぞれの居場所に応じてコントロールする。

圧縮機を駆動するインバーターには、「フルSiC DIPIPM」と呼ばれる半導体モジュールを世界で初めて採用。電力喪失を60~70%ほど低減させ、省エネ性能を向上させた。ほかにも、ムーブアイ極で判断した体感温度により、冷房と送風を自動で切り替える「ハイブリッド運転」機能を搭載。体感温度に合わせて片側のファンを停止し、1基のファンで送風運転を行うことで、低消費電力を実現する(定格出力6.3kWクラスで17W、4.0kWクラスで14W)。

約1万8,000エリアのセンシングにより、指先から足先まで身体の体感温度を見分けることができる独自の赤外線センサー「ムーブアイ極」

大人と子供の体感温度の違い。一般的に、25℃で快適だと感じる大人に対して、子どもは暑いと感じる傾向にあるという

新製品では、大人と子どもの体感温度の違いまで判断できるようになった、独自のアルゴリズムを採用したマイコンを搭載する

前年モデルから採用された、左右2つのファンを個別に制御して気流を分けることが可能な「パーソナルツインフロー」

2つの気流制御が可能なFZシリーズでは、大人と子どもの2つの空間に分けて、それぞれ快適な温度に保つことができる

身長差のある大人と子どもでは、同じ気流でも風が当たる部位が異なる。図のように2つの気流を制御することにより、同じ空間にいながらどちらも快適に過ごせる

体感温度は室温や湿度以上に床や壁からの輻射熱の影響が大きい。三菱の「ムーブアイ」ではこれら3つの要素をセンシングし、室内の快適さを見守ることができるという

FZシリーズとZシリーズの共通としては、室温28℃以上の場合に冷房、室温10℃以下の場合に暖房運転を自動で行う機能がある。ほか、カビが発生しやすい温度と湿度を自動算出し、エアコン内部の熱交換器や送風ファン、送風路などを自動で清掃する「カビガード」運転や、内部の汚れを防ぐ「ハイブリッドナノオーティング」(フッ素粒子と親水性被膜をナノレベルで配合)、前面パネルや後ろフラップなどの外観パーツを取り外せるようにした点など、清潔さを保つための機能や機構が新たに取り入られている。

パーソナルツインフローによる大人と子どもの居場所ごとに別の運転制御を行っている実演デモ

定格冷房能力によるラインナップ(推定市場価格、税別)は以下の通り。FZシリーズの本体カラーはシルキープラチナ、Zシリーズはウェーブホワイトとウェーブブラウンの2色。

FZシリーズは、4.0kW(328,000円)、5.6kW(348,000円)、6.3kW(368,000円)、7.1kW(388,000円)、8.0kW(418,000円)、9.0kW(448,000円)。

Zシリーズは、2.2kW(218,000円)、2.5kW(238,000円)、2.8kW(258,000円)、3.6kW(268,000円)、4.0kW(278,000円)、5.6kW(298,000円)、6.3kW(318,000円)、7.1kW(338,000円)、8.0kW(368,000円)、9.0kW(398,000円)。