人気のあるアプリでも、動詞化が難しいものはたくさんある。

ライドシェアアプリをSiriから呼び出す例。リッチ通知に通じるカード型のUIによるフィードバックで、どこで予約するのか、目的地までの料金、予約のタイプなどを確認することができる

「Twitter」は「Tweet」という既存の動詞を元にしていることから、SiriでもTweetという動詞を利用してメッセージを送ることができる。しかしFacebookは、残念ながら動詞として使っても、つながることなのか、友達の写真に「いいね」をつけまくることなのか、あまりはっきりしない。

もともと、音声から使う前提でサービス名や機能名を開発しているわけではないだろうが、口に出して利用することができるブランド名や、サービス名を動詞化してきた企業にとって、音声アシスタント時代の到来は、先行投資が報われる経験をすることになるはずだ。

さて、Twitterの話題が出たので、それに続けて、Siriにとって重要な進化に触れておこう。

現在のSiriからでも、Twitterに声で投稿することは可能だ。例えば「Twitterで眠いと投稿する」とSiriに話すと、「Twitterアカウントを使って投稿して良いですか?」と質問が返され、ボタンもしくは音声で「はい」「いいえ」を選択することになる。もちろんこれでも十分に役割を果たしてくれるが、投稿結果のイメージが浮かばないまま、ツイートすることになり、若干不安、というか使いにくい。

iOS 10では、Siriがアプリに情報を渡すと、何が起きるのかをカード型のUIにまとめて表示するフィードバック機能が搭載された。ちょうど、本連載の「リッチ通知」の項目で紹介したような、文字だけでなく画像などを使ったカスタマイズされたフィードバックを受け取ることができる。

前述のTwitterの場合は、カードの中に、投稿内容である「眠い」と、どのアカウントを使って投稿するのか、といった情報が分かるカードが出てきて、それを確認して送信することができるようになるだろう。

Uberの例であれば、クルマの位置や到着までの時間、あるいは行き先を設定した場合は、そこまでの到達予定時刻や料金などを確認できると、安心してリクエストを完了させられることだろう。