AK70というデジタルオーディオプレイヤー(DAP)は、2015年5月発売「AK Jr」の後継に位置付けられる製品だ。ただし、その意味合いは強化版・改良版ではなく、Astell&Kernというシリーズにおける最初心者向けの次世代機、と理解したほうが現実に近い。
スペックで見ると、AK JrとAK70は多くの点で異なる。音質の要といえるDACは、AK Jrが第1世代機(AK100やAK120など)と同じWolfson「WM8740」を採用していたところが、AK70では第2世代機(AK100IIなど)と同じシーラス・ロジックの「CS4398」に変更された。
最大の変更点は、なんといっても2.5mm4極バランス端子を装備したことだろう。AK120IIやAK240のようにL/R独立のデュアルDAC構成とまではいかないものの、左右の分離感はアンバランス接続とは次元が違う。これで、第2世代機のウイークポイントを克服したと言っていい。
USBオーディオ出力への対応にも注目だ。USB DACやポータブルアンプを接続すれば、PCM 384kHz、DSD 5.6MHzまでをネイティブ(DoP)再生できる。この機能は第2世代以降の機種向けにもソフトウェアアップデートで提供されるそうだが、出荷時点で標準装備されるのはAK70がシリーズ初となる。
OSが第2世代機以降と同じAndroid OSベースのものに変更されたこともポイント。洗練されたUIに変わることもあるが、DLNA機能「AK Connect」やプレーヤー本体から直接楽曲を購入できる「ストア機能」に対応するなど機能面での恩恵はより大きい。
AK Jrとのスペック比較
AK Jr | AK70 | |
---|---|---|
ディスプレイ | TFT 3.1型 | TFT LED 3.3型 |
画面解像度 | 240×400ドット | 480×800ドット |
内蔵メモリ | 64GB | 64GB |
microSDカードスロット | 1基(最大64GB) | 1基(最大128GB) |
DAC | WM8740×1 | CS4398×1 |
DSD再生 | ○(2.8MHz)※1 | ○(5.6MHz)※2 |
USBオーディオ出力 | × | ○ |
USB DAC | ○(PCM 96kHzまで、DSD非対応) | ○(PCM 96kHzまで、DSD対応) |
PCM | 最大192kHz | 最大384kHz※3 |
バランス接続 | × | ○ |
OS | Linux(独自) | Android OS |
Bluetooth | ○(SBC) | ○(SBC/apt-X) |
Wi-Fi | × | ○ |
サイズ | W52.9×H117×D8.9mm | W60.3×H96.8×D13mm |
重量 | 98g | 132g |
バッテリー | 1,450mAh | 2,200mAh |
カラー | スリークシルバー | ミスティミント |
※1:PCM 88.2kHz/24bitに変換
※2:PCM 176.4kHz/24bitに変換
※3:352.8kHzは176.4kHz、384kHzは192kHzにダウンコンバート